結婚できない男(TVドラマ)

2006年9月25日 (月)

結婚できない男のためのクラシックミュージック特選

 

結婚できない男のためのクラシックミュージック特選

という広告が、私の記事のあとに貼り付いていました。
何だかおかしいので、記事にしちゃいましょう。

あなたも、これで桑野信介の気分に浸れるかも?!
しかし、ドラマと切り離して、この言葉だけ読むと凄くおかしいですね。
結婚できない男のためのクラシックミュージックって、どんなクラシックミュージックだよ、みたいな……(笑)。

このドラマとこの言葉、ちょっとした社会現象を巻き起こしている?

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2006年9月21日 (木)

結婚できない男 最終回――あなたは、ほんとのひとりぼっちを知らないのよ

 とうとう「結婚できない男」が最終回を迎えた。
 見始めた時は、阿部寛演じる桑野信介のことを、なんて憎たらしい男なんだ!なんて思いながら見ていたのに、終わる頃にはすっかり虜になっていた。
 早坂先生(夏川結衣)やみちるちゃん(国仲涼子)が、嫌だ嫌だと言いながら、引き寄せられていったのとおんなじに(笑)。
 まあ、信介の虜になった……というより、このドラマそものものに、なんだけど。 

Img_0444 最終回の冒頭は、いきなり「ひとり手巻き寿司」のシーン。
 その他、お馴染みステーキ屋、焼き肉屋でのおひとり様シーンもあり、指揮マネも椅子から立ち上がるほどの熱演で、信介ひとりシーンの集大成といった感じ。
 最終回らしくサービスたっぷりの演出だった。

 

 それから、金田(金田、と言うだけで、なんだか=笑)。
「なんだ、いいヤツじゃないか」という、信介の一言がすべてを語っているけれど、このドラマは本当に心底嫌なヤツ、というのが出てこなかった。
 私は、金田は、タダの放蕩息子でニセ建築家だったとか、耐震偽装問題で逮捕されるとか、そんなのを想像したりもしたんだけど……そう言えば、作家の保坂和志氏が、人が創作しようとすると、すぐネガティブな方へ流れやすくなり、嫌な人ばかり出てきたり、結果、陳腐な設定に陥りやすい(最近の傾向だと、不倫とかリストラとかニートとかリストカットとか)というようなことを書いていたけれど、案外と私もそうかも知れないなあと思った。
 このドラマみたいに、皆、ちょっと変なのだけれど、どこか愛すべきところを持っている人たちがたくさん登場する小説なんかを書いてみたいもんです。
 金田も、実はこっそり焼き肉屋で「おひとり様」をしているんだけど、バーで女性と一緒の時に見せるどの表情よりも、いきいきとしていて楽しそうだったのが笑えた。
 公式HP に、金田を演じた高知東生さんのインタビューがあるのだが(TOPICのなか)、「実は金田こそが結婚できない男であり、自信がなく、プレイボーイのように見えながら、彼の方が本当は女に次々と振られているのかも知れませんよ」ということを言っていて、なるほど、そうだったのか!と思った。

 で、最終的には、みちるちゃんはいくらなんでも「お子様」な感じだし、あり得ないよねえと思っていたら、やはり早坂先生だった。
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「私たちの言葉って、ドッジボールだったような気がします。
相手にあてて、終わり。
私は、キャッチボールがしてみたいです、あなたと」

 と信介に語りかける早坂先生。
                               信介の言葉に涙ぐんで……いたのも束の間

 勇気をもって先に歩み寄るのは、女性である早坂先生の方だった。
 そして、ようやく心を動かし始めた信介も早坂先生が住みたい家の構想を練り始め、
「あなたを好き……なのかも知れません」
などと告白し、早坂先生を感動させるのだが、だが……。
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      早坂先生のために必死で家のスケッチをする信介→
 
 その告白の直後、でも、ふたりで暮らす家のイメージが浮かばないから、結婚はできないだの何だのと小理屈をこね始める。
「賃貸でも何でもいいじゃないですか!
結局、自分のことばっかりじゃないですかっ」

 と激怒する早坂先生(笑)。

 ハッピーエンドっぽく涙を誘いながら、くるりと一回転、一筋縄でいかない展開がいかにもこのドラマらしかった。
 Img_0441でも、すったもんだの挙げ句、ふたりで夜道を並んで歩いて行く。
 結婚式のウェディグドレスシーンなんかではなく、こんなふうに普段着のまま、スーパーのレジ袋を下げて一緒に歩いて行く、というのが、このドラマに相応しい終わり方だったように思える。

(早坂先生の定番メニューのロールキャベツ、私も結構好き。信介のアドバイスどおり/笑、今度は圧力鍋でつくってみようかと思う)

 ところで、草笛光子演じる信介の母親も結構いい味を出していた。
 初めは、息子の結婚ばかり心配している過干渉な母親か?と思わせながら、そこそこ距離を取りつつ、わりと冷静に息子を見つめているのがよかった。
 そこで、最終回に出てきたのがこの言葉。
「あなたは、ほんとのひとりっぼちを知らないのよ」
 深い。「本当の孤独を知った人間こそ、他者と共生できるのだ」と内田樹氏も著書のなかで言っていたっけ。

 さて、このドラマで特に私が好感をもったのは、信介の職業、建築家というものをきちんと描いていたところ。
 ドラマで描かれる主人公の職業なんて、まるでアクセサリーのような位置付けであることが多いなか、このドラマは、主人公の生き方とか生活にしっかりリンクしていた。
 Img_0442_1信介と早坂先生を結びつけるのも、家を巡ってのやり取りだった。
 
 だから、最後のシーンでは、テーブルの上に置かれた家のスケッチと模型がアップで映されるのだ。
 そして、いつの間にか二匹になった金魚も!。

 

 

 
 協力された建築プロデューサー 朝妻さん 、お疲れさまでした。
 たくさんの人が楽しんだドラマだと思います。ありがとうございました。
 工事中の物件を探して、撮影の許可を得るなど、いろいろご苦労があったのでは?と思います。
 半年後くらいに、2時間スペシャルを希望します!
 その際もぜひ朝妻さんのアドバイス入りで(って、勝手に決めてますが/笑)。

 などと、あれこれ語ってしまいましたが……。
 あー、でも終わっちゃったよ、どうしよう。寂しい!という気持ちでいっぱい。
 
 そして、名優ケンちゃん(本名こつぶ)ともお別れ。
 ケンちゃんもお疲れさま。
 このドラマで、大人気らしいけど、あんまり騒がれないといいなあ。
 いつまでも元気でね。
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2006年9月16日 (土)

結婚できない男――半分見逃した一編集者の繰り言とかミロンガとか

 12日の火曜日の「結婚できない男」、半分見逃した! 
 今まで、すべての回を欠かさず見続け、3回目以降くらいから録画したHDDも全部残しているというのに。まずリアルタイムで楽しみ、レポートを書くにあたって、どこをポイントにするか、たいてい2度見てから書いているから。
 そんな忠実な一視聴者の私が……なんということであろうか。
 もう最終回間近なのに、レポートも書けず、アクセス数も激減(笑)。

 同じ職場の同じに「結婚できない男」ファンのMさんが、金曜のランチ時に、阿部ちゃんの手振り身振り口振りを真似ての大熱演で「ひとり再現ドラマ」をしてくれたおかげで、だいたい話の全貌が掴めてきたが、ますます見たくなってしまった。
 信介は施主に無理矢理、キッチンの壁を花柄にしたいと要求され、花柄を描かされたらしい。
 建築家と花柄。
 これほど相反するものはないように思える。この前、冗談で花柄シートを貼った棟梁と取っ組み合いの喧嘩していたのは伏線か(笑)。
 この辺も、ドラマに協力していらっしゃる建築プロデューサー 朝妻さん のアイデアでしょうか。まさか、実話に近いことがあったとか?(笑/朝妻さんの日記を読んでわかったのですが、建築家の皆さんもあのドラマを結構チェックしているんだそうです)。
 建築家も「建築家に設計を依頼するような施主」もほとんどの場合は、花柄なんていうものは、まず排除されるべきものの筆頭に上がる。私が取材させてもらった建築家住宅には、花柄がひとつもなかった。壁紙を貼る家というものがまずなかったけれど、カーテンも使用している家はなかった。ほとんどの場合、ブラインドやロールスクリーン的なもの。あるいは和の感じで、障子っぽいものをうまく取り入れたりとか。
 だから、花柄紛争で、塚本君演じる英治クンの殴り込みシーンまで発展するというのを、ぜひ見たかったと思う。

 お洒落な人に憎まれる花柄だけど、実は私自身は結構好きだったりする。
 ウィリアム・モリスとかリバティプリントの、渋めのアンティーク風な趣のものとか、キャス・キッドソンの懐かしくて可愛らしい感じのとか。
 実際、私の部屋のカーテンはローラ・アシュレイの生地を自分で縫ったもの。縫い目はガタガタで相当しょぼいけれど、10数年使い続けている年季の入ったもので、色褪せてくったりしてきていい感じ。
 しかし……そんなふうに花柄好きの私だが、もし、ウィリアム・モリスとかリバティプリントの本格派な花柄のどっしりとしたカーテンの下がった家に住む男がこの世にいるとしたら怖いかも。部屋に上がった途端、逃げるかも知れない。それこそ、本当の「結婚できない男」って気がする。

 その他、Mさんの話を聞いていると、特に私が見逃した前半はランチ1時間分では語り尽くせないほどの内容で、本当に悔やまれた。

 なぜ見逃したかというと、神保町で飲んでいたから。
 飲む予定なんかじゃなかったんだけど(だから録画してなかった)、この日、ちょうど校了日で、他の部署の同じ校了日の人たちとかお仕事をお願いしている組版屋さんなんかとわらわらと……おいしいベルギービールを飲んだあと、そのまま帰るつもりだったのに、「Kateさんがいかにも座っていそうな店」
が路地裏にあるからと言われ、それはどんな店なのだろう?という好奇心で、ついふらふらと行ってしまったのだ。

 で、その店で、
「いやあ、Kateさんが担当編集者になってくれてから、えらく助かってます。
この時期の残業、1日3時間は減りましたよっ!」
 と組版屋さんの青年S君に言われ、ふだん褒められることもあまりないので、
「そう思っていただけて、何よりです」
とつい嬉しくてへらへらしてしまい、思いのほか時間が経ってしまったのだ。くぅ……。
 お店の女の子におだてられている酔っ払いのオヤジみたいだ。

 某大手で派遣で働いていた時、200数十ページの内容みっちりの月刊誌の進行管理を担当してからというもの、
「いかに精度の高いもの(原稿+材料)に仕上げ、きっちり整理してから入稿するか」
「優先順位を付け、前倒しして、どんどん早め早めにやっておく」
というのが自分の根幹をなしているので、そこが認めてもらえると嬉しい。
 その某大手で学んで仕込まれたというようなキレイな話ではなく、あまりに印刷所とのトラブルが多く、自分も先方もさんざん泣いたので、それを避けるための発想法で仕事をしていくと、世間では「仕事ができる」ということになるらしかった。

 仕事というのは、このようにして身に付いていく、身に付けていくものであると思ったりもした。

 わぁ、なんかまたオヤジの仕事人生訓みたいになってしまった(笑)ので、客観的なことも添えておくと、こういう実務系なのは仕事としてどんどんこなす方だけど、売れる本を編集する!というような企画力には乏しい私である。
 実務系か好きなことを書き綴るか……という両極しかできない編集者だ。
 だから、編集者としては、いわゆる「できるヤツ」ではない。

 さて、おだてられた後で、なぜかいきなり、
「Kateさんは料理なんか全然しなさそう!」とか
「朝、起きれなさそう!」

という話題で、皆で盛り上がる。
 後者は当たっているが(でも、今は9時始業を毎日こなしているんだぜ!)、前者は断じて間違っている。
「週末は玄米を炊いて小分けにして冷凍したりしているんですよー」と言っても、あまり本気にしてもらえなかった。とほほ。
 そう言えば、この春、友人とイタリアンでランチした時も「Kateさんっていかにも運動しなさそうだよねー」なんてことも、ちょっとからかわれるように言われたっけ。
 今思い返すと、いかにも運動しなさそう→デブってこと?などと思うが……。
 まあ確かに運動しないけど。家でやるストレッチやゆるヨガは運動の範疇に入らないらしい。でも、私はジムに通ったりテニス教室に入るの、なんだか嫌いなのよ。

 私のイメージってどうなっているんだ?

 もう、いいもん、そういうイメージなら、
今後、好きな男ができても絶対料理なんかつくってやるもんか!

と思う。そんなにつくらなさそうに見えるのなら、誰か、私においしいものを作っておくれ、とも思う。

 と、まあ、そんなことをだらだら言われたり言ったり思ったり笑ったりしているうちに時間が刻々と過ぎゆき、酔っ払いながらも慌てて帰宅したのだけれど、間に合わず、貴重な「結婚できない男」半分を見逃したわけだ(録画している方がいたら、どなたか貸してくださいまし)。

 見逃したことをテーマにこれだけレポートできたのも凄い(自画自賛)。
 見てもおもしろく、見逃しても悔しくて、いっぱい書けてしまう。

 ま、たまには、外で飲むのも悪くないけどね。
 Mirongaところで、「Kateさんがいかにも座っていそうな店」というのは、三省堂の裏口近く、本当に路地裏のミロンガ・ヌオーバ という昔からある古い、喫茶店とBarが合体したような隠れ家のような店だった。ネットで調べたら、タンゴ喫茶とあった(笑)。その夜、タンゴが流れていたかどうか記憶にない。
 そして、ミロンガに座っていた経験は、皆さまの期待に反して残念ながら、ない。
 でも、遠い昔、古本屋探索をしながらコーヒーを飲みに入って、一度くらい座ったような記憶は微かにある。

 それにしても、隠れ家のような場所というのは、確かに悪くない。
 信介に家の設計を頼むとしたら、「明るく風通しのいい開放的な家が好きなんですけれど……どこかひとつだけ、隠れ家みたいな小さなコーナーがほしいんです」と言うかも知れない。

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2006年9月 6日 (水)

結婚できない男――沢崎摩耶に焦点を当ててみる

Img_0404_1 昨日の「結婚できない男」は、高島礼子演じる建築プロデューサー役の沢崎摩耶が中心になって展開。
 このドラマのいいところは、主人公以外の登場人物も、単なる話の進行役ではなく、それぞれしっかりとした個性が与えられていること。
 沢崎摩耶もなかなか重要なポジション。仕事はできるけれど偏屈な桑野信介(阿部寛)を絶妙にフォローし、大工や施主とのパイプ役になっている。信介のことはお見通しなので、彼が多少自分の意にそぐわない反応をしても、さらりと交わして、仕事を最優先させる。
 そう、大人の態度! 
 こういう理解者に囲まれて、信介は実はかなりの幸せ者だと言える。
 沢崎摩耶は、信介に対し仕事以上の思いを匂わせながらも、どうやらそれ以上には発展しそうにない気配。大手の住宅メーカーの引き抜き話を蹴った後、信介に今後も仕事のパートナーとしてよろしく、というようなことをはっきりと言う。
 本心では心惹かれるところもあるけれど、こういう男とは自分は、「プライベートでは幸せにはなれない」ということを知り抜いているのかも知れない。ここで、変に恋愛感情を持ち込み、仕事のパートナー同士という、いい感じの対等な関係が崩れるのはつまらないから……。
 と、男気溢れる?沢崎摩耶。
 だけど、こんなふうにしゃっきりとしていて、仕事のできる建築プロデューサーがいたら、素敵だ(私は、依頼したい建築家は自分で探せてしまうと思うので、プロデューサーは通さないと思うけど。家を建てられるとしたら……の仮定の仮定の話/笑)。

 今まで高島礼子というと、和服の似合う小料理屋のママ、みたいなイメージが強くて(日本酒のCMのイメージか?!)、あまりピンと来なかったのだけれど、このドラマではとてもいい。
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衿ぐりがきれいに開いたブラウスに、ボリュームのあるネックレス。
シンプルだけれど、カッチリしすぎず、程よくエレガントでいい雰囲気。
働く女性のお手本にしたいようなファッション。

 

Img_0412_1信介の事務所にて。鎖骨がきれいに見える黒いブラウスに長めのシルバーのネックスレスを二重にして。こういう着こなし、私は好き。
右手には、建築事務所らしい、何かオブジェのようなものが見える。

 

 というわけで、今回は沢崎摩耶に焦点を当ててみた。


*今回の笑えるセリフとかシーンとか*

「地引網みたいに、ごそーっと釣り上げてから、
ゆっくり、より取りみどりみたいな、そういう男選びの方法ないかなあ……」

 と言うみちる(国仲涼子)。
 即刻、女友だちに「ありません!」と言われる。
 ドラマのなかで、女性にこんなセリフを淡々と言わせてしまえるのも、時代の流れを感じる。一昔前だったら、あり得ない。
 ほんとにこんな方法ないかなあ……と、みちるならずとも、呟きたくなるこの頃ではあるが(笑)。

 信介「口なんか出しませんよ」(沢崎摩耶の引き抜きに対して)
 早坂先生(夏川結衣)「サンバが来なけりゃ出したでしょ」
 ビアガーデンで信介はなぜかまたまたサンバのショータイムに遭遇、ダンサーに囲まれてしまう。で、沢崎摩耶に引き抜きを思いとどまって、自分のもとにいてほしいと口を出したいのに、言えなかったことに対して、後で早坂先生がずばりと一言。 
 あのダンサーたちが再び登場し、爆笑。

 だけど、そんなビアガーデンももう終わりの季節。
 そして、いよいよ最終回も間近。
 早坂先生、沢崎摩耶……と信介の恋の可能性がひとつずつ消えていき、ついに、みちるが?!と思わせ、最後はまたどんでん返しのような……。
 どうなるのか?
 どうなってもいいけれど、ありきたりには終わらないでほしい。

 それはそうと、このドラマの記事を書くと、アクセス数の伸びが素晴らしいんですけど……。
 グーグルの検索画面の、私のブログの紹介欄にはなぜか 「私も結婚できない女だしさ」というのが、きっちり抜粋されていて、どーしてここが強調されるのか、なんだかなあなのだ(苦笑)。

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2006年8月30日 (水)

結婚できない男――すみません、素直じゃなくて

 タイトルの「すみません、素直じゃなくて」は、夏川結衣演じる早坂先生のセリフより。
 今回の『結婚できない男』は、えっ、信介に彼女が?!という、意外な展開。

 ところで、同じ職場の30代独身のMさんとは、火曜のランチタイムにて、
「今日だね、阿部ちゃん」
 と言い合い、水曜の朝には、
「昨日の阿部ちゃん見た?」
 という言葉を交わすのが、習慣になりつつある。
 阿部ちゃんというのは、もちろん『結婚できない男』のことである。

 で、本日水曜日はこのネタで、いつにも増して盛り上がった。
「あの感じわかりますよねえ。意外な人に、彼女ができたりすると、えーーっ!と思って、なんかショックなんですよね。ほんとに先越された!って感じで」とMさん。
「わかる、わかる。その人のこと、別に好きじゃなくてもね」と私.

「こっちがいい人見つけられなくてウロウロしてるのに、
実は桑野さんに彼女がいたなんて、悔しいじゃないですか。
よりによって桑野さんに先越されるなんて!」

 とは、信介に彼女ができたと思い込んだみちる(国仲涼子)のセリフ。

 私も、離婚後しばらくしてから、元夫のHPの日記を何の気なしに読んだことがある。
 夫婦同然みたいな付き合いをしている相手がいることを知り、なるほど、やはりそうかと冷静だったが(その相手も私の知っている人だったから)、どんどん遡って読んでいくと、なんと私との離婚届けを出した直後のクリスマスに、その女性とレストランで食事をしていたことを知り、胸がちょっとざわついた。
 未練があるとか寂しいとか、増してや嫉妬という感情なんかでは全然なく、この「先を越されていたなんて」という感覚故の胸のざわつき。

 私は、そのクリスマス、どうしていたろう?
 引っ越しの荷物に埋もれ、無職だったけど年の瀬で職探しもままならず、先行きの不安に怯えつつ、ワインを飲んで引きこもっていた記憶が……。

 それにしても、こういうことを詳しく知れてしまうネット社会ってのも、どうなんでしょうねえ。
 ま、見なけりゃいいんだろうけど。ちなみに元夫は、正式に再婚したのか、全然知りません。HPの日記やめてしまったので(笑)。

 ま、自分の離婚話はさておき。
(離婚の経験をムダにしないためには、ネタにしてしまうに限る/苦笑)。

「年と共に恋愛に入るハードルが高くなった気がしません?
ましてや結婚なんて……」

 という高島礼子のセリフも、私が同世代の友人と日常交わしている言葉そのもの。

 そして、今回の聞き捨てならん、このやり取り!
 信介がえらく若い子と付き合っていると勘違いしていた早坂先生が、
「ちょっと年が離れすぎてません?」と聞くと、信介は
「男はね、相手がどんなに年下でもOKなんです
と答える。
 まさに世の男たちを代弁しているかのよう(笑)。
「そう言えば、娘みたいな年の人と
再婚する男の人ってよくいますよね。
その逆はいないのに。なんかずるい」
「若い子は素直で可愛くていいですよ。
人の言うことにいちいち茶々を入れたりしないし」
「すみません、素直じゃなくて」

 私も最近は、素直さからは遠いところに来てしまったかも……。
 ひとりで仕事して生きていると、素直なだけでは、やってられん!って感じで。
 まさに、私も「すみません、素直じゃなくて」状態。

 だけど、そんな早坂先生の「恋愛したいんだと思います」という言葉には、「素直に」頷いてしまうのであった。
 その狭間で揺れる「結婚しない女たち」の視線にも寄り添っているドラマだ。

 結局、信介は、若い女の子に振り回されただけで、何もなく終わる。
 それでも、はじめウハウハしていた信介だけれど、ゲームセンターやシミュレーションマシンで遊びまくるデートには憔悴したようで、おかしかった。年の差っていうのは、そんなささやかなところで感じるものかも知れない。


★今回のこだわりの逸品★

 早坂先生の、お見合いがうまくいって結婚するという嘘を信介が信じ、早速お祝いを買いにいくシーンでは、プレゼントにウェッジウッドのプシュケ が使われていた。
 実際に、今月発売されたばかりの新製品のようで、プシュケという名前のカップを選ぶなんて、さすがこのドラマならではのこだわりが感じられる。
 ドラマに出てきたウェッジウッドのお店は、丸の内にある本店だと思う。
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 ところで私は、このプシュケと同じシェイプのウェッジウッドのティーカップを持っている。
 フロレンティーンという柄。
 モノトーンでちょっとゴシックな雰囲気。聖堂のレリーフみたいな柄で気に入っている。
 カップには「ちょっと」うるさい私(笑)。Img_0393_1

 


 

 

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2006年8月16日 (水)

結婚できない男――気になる謎のバーテンダー

 今夜の「結婚できない男」、今週こそは書かないと思ったし(この文句がほとんど前説になりつつある)、ツボにはまりまくって爆笑!というシーンはなかったけれど、夏休み中で余裕があるため、ちょちょいと書いてみよう。
 ていうか、猿もおだてりゃ木に登るじゃないけど、ブログで紹介してくださる方などもあり―― これはアメリ評のことだけれど、私のブログを読んでくれたきっかけは、やはり「結婚できない男」話だそうで→reiさんが書かれている猫に腕枕 というブログ。猫の写真がいっぱいで可愛い! 
 私もデジカメを持ち歩いて野良猫を撮ろうと思っているのだけれど、いつもカメラを向けた瞬間に逃げられてしまうんだよねえ。

Img_0358_1 さて、今回は、いつにも増して信介の「おひとり様」のシーンが多かった。
 「ひとりビアガーデン」を楽しんでいる信介を、同じ店にいた早坂先生たちが発見したり(偶然度やや多しの感あり)、ひとりで金魚掬いをしたり、ひとりでステーキ屋へ行くシーンなど。
 焼肉に次いでビアガーデンとかステーキ屋とか、最も「おひとり様」をしたくない場所へ信介をとりあえず置いてみるという、この辺になると、笑いを取るためだけのシーンのようにも思えるが、まあ、笑えるからいい。

Img_0359←「ひとりビアガーデン」をしていると、なぜか、
リオのカーニバル風のダンサーに囲まれ……
しかし、毅然としたまま(笑)枝豆をつまむ信介。
季節感のあるものを楽しむのが、意外とお好きなようで。

 次はどこで「おひとり様」をするのだろう?
 私も「おひとり様」度は相当高いけど、ボリュームのある食事やビアガーデンは、さすがにちょっと……。

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 で、今回のウンチクネタは、縁日の金魚掬いの方法!
 前回はお好み焼きの「完璧な」焼き方だった。
 金魚掬いにしてもお好み焼きにしても、あの微に入り細をうがつウンチクは、その道のプロに取材してるのかしらん。
 建築プロデューサーをちゃんと入れているくらいだもんね。そうすると、金魚掬いの方法はテキヤさん?!
 
 あと、真面目なネタでは、設計のシーンで、二世帯住宅についてあーでもない、こーでもないと話し合うところなどは、リアリティがあって○だった。 

 ところで、いつも気になるのは、一番お酒が似合いそうなシーン――高級オーディオの前でクラシック音楽を聴く――のところでは、信介は必ず牛乳を飲んでいること。
 お酒を飲まないのかな?と思うと、いつもバーに立ち寄っているので、そうでもないらしい(今回は、ビールを買っていたし)。
 クラシック音楽に耳を傾けながらグラスを……という、いかにもな演出は避けて、わざと外しているのかも知れない。
 もし、信介が自宅でスコッチのロックを飲むとしたら、絶対バカラのタンブラーに違いない、などと想像してみるのも、また楽しい。

 そして、仕事帰りに立ち寄り、金田に遭遇することになるあのバー、実はあそこのバーテンダーが私は結構気になっているのである。
 今回は、信介や金田とあまり絡まなかったが、今度、彼らのやり取りを注意深く聞いてほしい。自慢屋の金田にも、皮肉屋の信介にも、何を言われて動じない、ニュートラルなスタンスで、バーテンダーとしてまったくもって完璧な受け答えをしているのである。
 「結局、お金がすべてなんだよね」もしくは「お金はあればあるほどいい」的な発言をする金田には(初めの方だったので詳しいことは忘れてしまったが)、同意するでもなく、否定するでもなく、
「そんなふうに言えるほど、お金を持ってみたいものですね」
 (註:今回のセリフではない、初めの回の方)

 Img_0364みたいな感じでさらりとかわし、酒をつくる。
 うーん、おとなである、クールである。カッコいい。
 実は、このドラマのなかで一番いい男なんじゃないかと思えてきてしまう。
 オレがオレがと言わない、黒子に徹したバーテンダー。
 これが普通のドラマだと、馴染みのマスターが「どうしたの? 何があったの?」なんて、すぐ割り込んできて喋り出すのがパターンだから。

左端にいるのが、私の気になるバーテンダー

 
 彼のようなバーテンダーのいるバーがあったら、ぜひ行ってみたいものだ。 
 そんなお薦めのバーがあったら、誰か教えてください。
 「おひとり様」でも行きますよ~、私は!

 というわけで、小道具のほかに、バーテンダーとのやり取りも楽しみになってきた。
 
 一貫してクールな彼の過去を知りたい。
 そして、、彼(バーテンダー)の目から見た、「結婚できない男番外編――カウンターの男たち」なんていう、脚本か短篇のひとつでも書けそうじゃないですか。
 誰が書く? 私?(笑/もう、この感想でいっぱいいっぱいです)

 ……と、取りとめなくなってきましたが。
 酔っ払ってなんていませんよ。
 夏休みというのに、気候が今ひとつなので遠出はやめて、東京でひっそりとしており、お酒なんか一滴も飲んでいないんだもの。
 だけど、バーの話を書いていたら、なんだか飲みたくなってきた!
 江國香織さんが小説のなかで「蠱惑的」と形容したアマレットというリキュールのペリエ割りをむしょうに飲みたい。
 キリッと冷やしたウォッカもいいかなあ。
 明日、一瓶買ってくるか、バーへ行くか、どうしようかな。
 でも、休みモードできちんと化粧したりするのも面倒だから――いえね、おひとり様でも、白木屋じゃなくて、バーに行く場合は一応ちゃんとしたいじゃないですか――吉祥寺マツキヨの地下酒売り場で、「一瓶買う」方に心が動きつつある。

 などと戯言を連ね、ドラマと映画を見て、本を読Img_0370_1み、持病の腰痛のため接骨院へ行き、うちでヨガやったり、酒飲んだりしてる間に、あっという間に夏休みは終わりそうだ。

このドラマのもひとりの主人公とでも言うべき、ケンちゃん。
潰れたような顔してるんだけど、妙に可愛い……。


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2006年8月 9日 (水)

結婚できない男――キッチンを中心にした家

 毎週恒例(?!)の『結婚できない男』報告レポートです……。
 このドラマに建築プロデューサーとして協力しているベースメントの朝妻義征さんという方からのコメント までいただいてしまい、またもや書かざるを得ない!!状態に。
 いや、もう、ほんとに毎週恒例にはしませんからっ……と言いつつ、やはり今回も爆笑シーンがあったのだ。
       
 大事な用件そっちのけで(母親に娘家族と同居したいのかと聞くはずだったのに)、姪っこちゃんの子ども向けアニメについ夢中になり、「あ、これは黒澤明の引用だな」と言うところ。これも、ほんとにさもありなん!って感じ。
 ていうか、私も言ってる時あるし(笑)。
 あれは、○○のオマージュなんだね、とか、なんとか。
 ううむ、前回に引き続き、信介との共通点を見出してしまう私。

 さて、信介は自分で料理を日常的にするだけのことはあって、設計ではキッチンを重視している。
 私も、これはとっても共感できる。キッチンは家の要だと思うから。
 家がほしいなあとしみじみ思う時は、たいてい、賃貸のキッチンのあまりの使いにくさに辟易する時。
 コンビニ弁当でも食っておけ、とでも言っているかのような貧しい作り。
 シンクも浅くて、水がジャンジャン撥ねるし。

 以前、住宅関係の本の仕事をしていた時、斬新で超スタイリッシュな家を設計するM氏を取材したことがある。住みこなすには気合いと体力がいりそうだなあという家だった。コンクリート打ちっぱなし、螺旋階段がくるくる、ガラス張りの水回り(お風呂とかトイレのことですぜ!)……みたいな。
 そのわりには、キッチンがオリジナルではなく、どこかのメーカーのシステムキッチンを組み込んだような感じで、気合いの入り方に、ほかの部屋との差を感じた。
 後で聞いてみると、M氏は「まったく料理なんてしない」という方で、食べることにあまり重きを置いていない人生を送られているようだった。
 なるほどなあと思った。本人自身もスタイリッシュで個性的なお洒落をする人で、今までこんなにイケてる日本の中年オトコは見たことないっ!というくらい、イカしたオヤジだったんだけど。
 そんな経験が実際にあるので、このドラマは本当にちゃんと描かれているなあと感心している。

 私がもし家を建てるなら(笑)――キッチンを中心にした家にしたい。
 中村好文さんに依頼するのが夢!←自分のブログで言うだけならタダだから、どんどん言っちゃう。
 中村さんの事務所では、お昼を所員全員で作り、皆で一緒に食べるのだそうだ。いいなあ(残念ながら、中村さんに取材したことはないけど)。

 という見方からすると、信介はやはり地に足の付いた、いい建築家なのだ。

 ちなみに、私が会った限りでは、建築家は、若くても人格的に成熟しているというか、温厚で誠実な人が圧倒的に多く、信介みたいなやはヤツはいなかった。
 アーティスト的な側面も持ちつつ、でもやはり最終的にはお客様あっての商売だから、その辺をわきまえ、かつ楽しみながら仕事している人が多かった。
 まあ、いい人のうえで、ウンチク好きという感じは否めないが(笑)。

 今回の信介は、厭な施主にもちゃんと向き合って、そのうえで自分の主張をするという「大人な」関わり方をするようになっていた。
 やはりそれを促すことができるのは、早坂先生しかいないようだ(という展開になるのかな?)。
 あと、キッチンより寝室を広くしたいとうそぶく建築家・金田が、どう絡んでくるのか? 果たして本性は?というのが楽しみだ。

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2006年8月 3日 (木)

結婚できない男――食材ヲタ的視点で見ると

――昨日のさらなる補足――
 信介が茹でていた、あの素麺。
 黒い紙(黒帯?)で束ねてあったけれど、あれはきっと通常のより長く寝かせて熟成させた高級品のはず→揖保の糸素麺 手延そうめん古特級品 
 普通のは、赤帯なのだ。

 それから、その素麺が入っている引き出しに、パスタもちらっと見えたけれど、あれはディチェコ。歯応えがあってソースの絡まりがよく、おいしいブランド。別に高級品ではないけれど、よく選択してあるなあって。
 あれがママースパゲッティだったら、がっかりだもんね。

 と、食材ヲタ的視点からの補足でした。
 人それぞれの興味の持ち方で、気づくところが違うのがおもしろい。

 ところで、こんなHPもあるのご存じ?
 「ちょっと行くのが好きな」金田のHP→建築家 金田裕之
 何気に公式HPにあるんです、こんな仕掛けが。

 ところで、昨夜、せっせと「『結婚できない男』――桑野信介と私の共通点」を書いているうちに、ジョアン・ジルベルトの先行予約の締め切りが過ぎていた……。
 正にブログをUpした昨夜、2日の夜までだったはず……すっかり忘れていたのだ。
 もう大ショック。
 何をやっているんだ、自分。

 だからもう、来週は書かないっ!(……でいられるか?)

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結婚できない男――桑野信介と私の共通点

 今週の『結婚できない男』(第4回目)は、爆笑するシーン満載というより、密かにクツクツと笑いたくなるシーンが多かった。
 というわけで、自制するはずなのに、毎週報告レポートを読みたいというご要望などもあり……笑えるシーンがなかったら書かないぞ!と思うんだけど、絶対何箇所かあるのだよなあ(どーしてくれる、私の睡眠時間!)。

 今回は、桑野信介がクラシック音楽にのって、念入りにかつ軽快にお掃除にいそしむシーンで始まった。
 実は彼、料理も掃除もできるし、いい仕事をするし――これで、性格さえ素直なら結構イケてる男なのかも。
 しかし、その重要な部分がそうカンタンには変わりそうにない気配。

 さて、小うるさくてひねくれ者のウンチク男とこきおろしているけれど、自分との共通点もちょっぴり発見している。
 初回のコンビニでのシーン。
「――で、よろしかったでしょうか?」と言うバイトの女の子の言葉にむっとし、毎回毎回「スプーンはご入り用ですか? ポイントカードはお持ちですか?」の紋切り型の質問にうんざりするところとか。
 ひとりでいそいそとレンタルビデオ(DVD)屋さんに通ってしまうところとか。
 ひとりでもきっちりご飯を支度して、ひとりでもそれなりにご満悦状態で食事を楽しめるところとか。
 そして、まるで自分を見ているようだと思ったのは、今回の生姜のシーン! 
 信介は素麺を食べようとするのだが、生姜が切れていることに気づき、仕事が切羽詰まっているにも関わらず、スーパーに買いに出かける。
 Img_0342で、いったんチューブの生姜を手にするが、すぐに置いて、生の生姜を買う。そして、帰宅後、しゃかしゃかとおろす。おろしながら、「あれ、こんな時間あったんだっけ?」
 というようなシチュエーションに激しく共感!(笑)
 
←1.生の生姜を手にし、ほくそ笑む信介

 忙しい時はコンビニ弁当でもオリジン弁当でも何でもいいじゃないかと思うのだけれど、なんだか妙にこまめに料理してしまい、結局、あとで疲れ果ててしまったりすることが、私にもよくあるのだ。
 ひとりだから、いくらでも手抜きできるのに、誰においしいと言われるわけでもないのに、ちょっと病的になる時がある。

 ところで、このドラマ、こだわっているのは音楽やオーディオだけじゃないのだ(そちらの情報は、CLASSICAさん の日記に詳しく書かれていて、おもしろいです。ショルティとバレンボイムのこととか)。
 私の好きなッチン用具関係、そう、その生姜をすりおろすシーンで、おやっ!と思ったのだ。
Img_0343_1
←2.徹夜仕事を抱えながら、夜のキッチンで生姜をしゃかしゃかとおろす信介

 フツーのおろし器じゃないよ、これ。たぶん、わさびおろし用の通向きの――ていうか料亭で使うような――道具のはず。
 と思い、ネットで調べたら、やはり。鮫皮わさび専用おろし器 というもの。
 Img_0345手元がアップになるシーンがあったけれど、多分、間違いない。鮫皮ですよ、鮫皮!
 クリーミーにおろせるんだとか。ちなみに、私はクロワッサンの店で購入した陶器のおろし器を使用。生姜は、信介と同様、チューブではなく生を使うので、おろすのは一仕事(めんどくさいんだけど、添加物いっぱいのチューブはいやなの!)。
 まったく、ストーリー以外のところでも見るところがいっぱいで忙しい。

←3.こだわりの逸品ですりおろされる生姜

 というわけで、今回は視点を変えて、桑野信介と私の共通点(笑)を探ってみた。まあ、私も「結婚できない女」だしさ(笑/正確には、再婚できない……だけど)。
 独身でいると――それも結構長い間――男女の別なく、自分なりのこだわりというか生活スタイルが生まれてくるものなんだろう。それがまた、他人との共同生活をますます難しくさせる(結婚できなくさせる)面は、確かにあるかも。

 それにしても……自分はあそこまで完璧主義にはなれないし、頑固じゃないよなあと思うのであった。

その他、よかったところ
*「あなたがプロの建築家なら、私もプロの医者です。仕事をさせてください」と言う早坂先生は凛としていて素敵! 夏川結衣は昔から好きだったけど、このドラマもよいですね。かつて「青い鳥」でDV夫から逃げまどい、最後死んでしまう悲壮感のある役なんかもやっていたけど(相手役は、豊川悦司だった!――中年俳優としては、今は、トヨエツより阿部ちゃんの方がイケてるよなあ)。

*「桑野さんをこきおろす会をやりましょうよ」というのはおかしかった。
  私も「○○をこきおろす会」をよくやっています(○○に入る言葉はご想像にお任せします)。

 

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2006年7月25日 (火)

結婚できない男――こういうウンチク男、どこかで見たような

 『結婚できない男』、今夜も笑わせてもらいました。
 すべてのシーンに笑いのツボと辛辣さとちょっとしんみりさせるところが、ぎっしり詰まっていて、どこがおもしろかったと一言では言えない。

 それにしもて、阿部寛演じる桑野信介――あのウンチク好き、「一般大衆」を小馬鹿にする感じなどなど、結婚できる、できないは別として、あの種の男性がいることは事実。
 離婚した、私の元夫もそうだったから(笑)、思い出してしまった。
 桑野信介ほどオタクではなかったが、ゴダールのウンチク話はよく聞かされた。何を語っていたのか、今となってはもう何も思い出せない。鈴木清順の風変わりな、ながーい映画も彼のお気に入りだった。膨大なレコードや本を大事に抱え、高級自転車を狭い部屋の廊下に置きたがった。勢いで結婚してしまったけれど、今思うと、ほんと結婚しちゃいけない男だったなあ(ま、それはお互いさまの部分もあったが)。
 あと、街中に出ると「なんで、こんなに人が多いんだ。まったく、どいつもこいつも、うろちょろしやがって、何がおもしろいんだ!」みたいなことをよくまくしてたてていた。
 さらには「田舎者がぞろぞろ出てきやがって」。
 私自身に対しては暴言は吐かなかったけれど……とにかく、そうやって悪態をつくのが楽しいらしかった。だから、相槌を打ってあげないと不機嫌になるのだった。
 街中の人込み嫌いで言えば、自分だって、その人込みの要因をつくっているひとりなのに、自分は違うらしい。
 それでいて、妙に職人とか下町好きで、そういうものに対しては評価が高い。自分は、粋がわかる都会の人間(江戸っ子)だと思いたいらしい。
 だから、桑野信介が、浅草で飴細工職人の包丁さばきをじっと見つめたあと、目を細めて「プロだな」と、ひとり呟くシーンでは、爆笑してしまった。わあ、いかにも言いそうと思って。
 う、うま過ぎる、この演出! そして阿部ちゃんの演技! もう演技とは思えないんですけど(笑)。
 こんなディティールをよく描いてるなあと、笑いながら――ま、私もひとりで笑ってるわけですが――感心することしきり。

 ブログでもこのドラマの話題は多い。
 それから、桑野信介が聴いている音楽はクラシックだが、選曲もなかなか優れているらしい。
 というのを、知人のブログで知った。これを読むと、番組中でかかった曲名がわかる(笑)→CLASSICA
 私はこのブログで「クラヲタ」という言葉を知りました(笑)。

 それから、建築家の仕事、事務所の雰囲気、アシスタントの使い方、建築現場での大工さんとのやり取り、建築プロデューサーのお仕事など、違和感なく描かれているなあと思ったら(ドラマってそれはないでしょ~!みたいなことが多いが)、やはり本物の建築プロデューサーの方が協力しているそうだ。
 ということが書かれているブログも発見しちゃいました→業界唯一完全独立系建築プロデューサー

 そう言えば、前回のことになるけれど、その建築プロデューサー役の高島礼子のセリフに、「私もマンションほしいと思っていたんだけど、桑野が設計した家を見ているうちに、ああ、こんな家で誰かと暮らしたいなあと思うようになったの。だから、マンション買うのはやめました」というようなのがあった。
 これにはいたく共感。私も仕事で、建築家が設計した家を何軒か見たけれど、あれを見てしまうと、お仕着せのような画一的なマンションなんて、ほんと色褪せて見えるのだ。
 あのセリフには、バリバリ仕事をしていたとてしても、ひとりの女性としての切実な実感というか憧れみたいなものがこもっていたと思う。

 さて、今回は花火大会の絶景をひとり占めにして、ひとりで楽しんでいた桑野信介。
 ここでも、キリッと冷えた白ワインや上品なオードブルを、「自分だけのために」周到に準備していた、というのにまた爆笑。
 本当に分かち合うということをしない人だ。早坂先生が来るのをちょっぴり期待していたみたいだけど(笑)。
 
 とにかく、こういう人は、自立しているのではなく、孤立しているのだそうだ。
 内田樹氏によると→内田樹研究室―消費税なんか怖くない

 
 このままでは、毎週火曜日このドラマを見たあとは、何か書かずにはいられないくなるなあ。来週は自制するぞー。

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