文楽初体験――菅原伝授手習鑑
先週の15日は、友人のKちゃんに誘われて文楽へ行った。
場所は、国立劇場。
前日の金曜から、ちょうどタイミングよく東京へ出張で来ていた連れ合いも一緒。
ふたりとも、文楽は初体験。
私は以前、NHKで人間国宝の故・吉田玉男さんの番組を見てから興味が湧き、一度本物の舞台を見たいと思っていたのだ。
Kちゃんは縁あって、この日出演する人形遣いの吉田幸助さんという方と親しくしているので、私たちも開演前、楽屋に案内してもらい、ご挨拶する。
こういう伝統芸能の楽屋を訪ねるのは初めてで、ちょっとわくわくした。
行き交う人々は、きりりとした着物姿。人形遣いの人は細身の着物、凛々しくてカッコいい。
幸助さんの好意で、本物の人形を触らせてもらう。背中の方から左手を入れ、右手で操り棒のようなものを動かす。左の写真は、楽屋で触らせてもらったそのお人形です。
さて、演目は「菅原伝授手習鑑」――と書くとえらく難しそうだけれど、菅原道真が主人公で、権力争いに許されぬ恋やら殺人やら親子の情やら絡めた、結構どろどろした話(文楽って、だいたいどろどろしている)。
途中で一度休憩をはさんで4時間という長丁場で、初体験だったわりには、途中で眠りに落ちることもなく(笑/初めての人はだいたいどこかで寝るそうです)、堪能した。
一体の人形を3人がかりで動かすという、正に3人がひとつにならないとできない技。
人形は想像していたよりかなり大きく、着物も歌舞伎役者が着るのと変わらないような、本物のいいもの。なんというか、不思議な世界だった。
まるで人形に魂が入っているかのような、と言うとありきたりな表現だが……。
人間がやってしまった方が簡単そうな気がするのだけれど、それをあえて一役に人形遣いを3人も使い、人形で演じるという、そのよじれた表現方法に、江戸の美学みたいなものを感じた。
なにせ、歌舞伎より文楽の方が歴史が古いそうなので、その発祥など調べるとおもしろいかも。
それにしても、女の人形がやけに妖艶である。
今度はもっと濃密な心中ものなどを観たい。
終わった後は、青山のタヒチというエスニック料理のお店で、幸助さんも交えて飲み会。
何年ぐらい修行されたんですか?とか、いろいろインタビューし、貴重な話を伺う。
帰宅後、連れ合いと、菅原道真は平安の人で、ちゃんと平安風な着物を来ていたけれど、他の登場人物はどう見ても江戸時代っぽい着物を着ていた……なぜだろうか?
幸助さんに聞けばよかったね……と言い合う。
それから、これも素人の感想だけれど、話そのものも、平安より江戸の匂いが濃密だ。
まあ、江戸時代に生まれた芸能だから、それはそうなんだろうけれど。
衣装の時代考証は適当だったということか?
未だによくわからない(笑)。
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