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2009年6月14日 (日)

朝ごはんのコラム

 先日のcalvinaさん のブログ・フェアに寄稿した朝ごはんに関するコラムです。
 フェアのテーマは「朝ごはん。心に残るけしき」。

 覗きに行けなかった方、よろしかったらどうぞ。

 テーマが決まっていると悩んでしまうところですが、私は朝ごはんが好きなので、わりとすんなり書けました。
 フレンチトーストの写真は、私の5月のある日曜日の朝ごはん。 

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心に残る朝ごはんのけしきと言えば――
90年代の初め、まだ日本に野外音楽フェスなどなかった頃、
グラストンベリーのフェスティバルへ行ったことがある。
その時に泊まったサマセットにあるThe Bear Hotelの朝食。
ホテルと言っても、小じんまりとした一軒の古い館のような造りで、
ここの朝食が正にこれぞイングリッシュ・ブレックファスト!
というものだった。
杏やプラムなどのフルーツのシロップ漬けやグラノーラは
ワゴンに用意されていて、好きなように取る。
席に着くと、ポットの紅茶、トーストスタンドにきれいに並ぶ
薄くてカリカリのトースト、卵料理、マッシュルームソテー、
ベーコンなどが運ばれてくる。
それは体にも心にも沁み渡るような美味しさだった。
ミッドサマーのイギリスの田舎の、明るく澄んだ陽射しや
爽やかな気候のせいもあったかも知れない。
そして、そのThe Bear Hotel――昔、熊が出没する所
だったのだろうか――の室内の空気。
今思い出しても、何か魔法の粉が飛んでいるような、
不思議な心地よさと静けさに満ちていて、
それらも朝食の味を引き立てていたと思う。

さて、肝心のグラストンベリー・フェスティバルの方は、
あまりの規模の大きさに圧倒されるばかりだった。
とにかく広大な敷地で、会場を移動するだけでも一仕事。
でもイギリスの女の子たちは、男の子たちと同じように
頑丈なワークブーツを履いてガシガシと歩き、
もちろんホテルなんぞには泊まらず、テントで何泊も
しているのだった。自分の軟弱さを知った。
今となっては誰の音楽をどんな風に聞いたのか、
記憶もおぼろげで、でもThe Bear Hotelの朝ごはんのことは
鮮明に覚えている。

Img_1754_2















もちろん、イギリスの田舎に旅しなくても、
私は自分の部屋で食べる朝ごはんだって好きだ。
朝ごはんは、決まりきった食材の中から、
たくさんのパターンを展開できるのが嬉しい。
卵とパンがあればシンプルにトーストと目玉焼きでもいいし、
フレンチトーストにしてメイプルシロップをかけて食べるのもいい。
どんな時もポットにたっぷりの紅茶さえあれば――
そして、あのThe Bear Hotelの清々しい空気や気配のようなものを、
自分の部屋の朝ごはんのテーブルでも再現できたらいいなと
密かに思い続けている。

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コメント

Kateさん!
その節は、大変お世話になりありがとうございました。

作品を出しておられる場所が異なると
印象も随分違うのだなあ、と改めて勉強させてもらっています。

たとえは良くないかもしれませんが、
ある(一つの)古美術品が、公共の美術館に展示されているのと、
薄暗くて小さな古道具屋の隅に置かれているような感じで・・・

何はともあれ、これからも仲良くしてくださいねっ。

投稿: Calvina | 2009年6月17日 (水) 21:30

Calvinaさん
先日は楽しいブログ・フェアをありがとうございました。
私は気ままに書き綴るだけなので、あのようにさまざまな人と人を結ぶイベントを
ネット上で展開できるお力には感心するばかりです。
こちらこそ、これからもどうぞよろしく!

投稿: Kate | 2009年6月18日 (木) 23:29

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