吉祥寺の「三浦屋さん」が閉店しました
吉祥寺のサンロードにあった三浦屋が2月末で閉店しました――。
しばらく前に行った時、割引セールをしていて、閉店の張り紙を見た時は信じられなかった。
吉祥寺に住んだことはないけれど、近い所に住んでいるので、私はこの三浦屋をよく利用していた。
普通のスーパーよりちょっと高いけれど、紀伊国屋ほど高級じゃなくて、なかなかいい品揃えだった。お惣菜も美味しかったし、地元の人たちには愛されていたお店だと思う。
以前は、井の頭公園口にもあったけれど、閉店。でもこのサンロード店はずっと続くのだろうと思っていた。
でも、ロンロンがリニューアルオープンし、THE GARDENをはじめ、デリカテッセンやお惣菜店がたくさん入った影響は大きかったのだろう。
やはり駅ビルは便利で、かくいう私も吉祥寺に行った際は三浦屋一辺倒だったのに、だんだんと半々くらいの利用になった。
やがて、生活クラブ生協を始めるようになると、できるだけ外で買い物しないようになったので、どちらもあまり行かなくなったが……。
でも、何かちょっと切れたり、生協では扱っていないものを買う場合、こういったお店は便利なので、ちょこちょこ行っていた。
あまり利用しなくなっていたのに、今さら閉店を惜しむのも何だけれど、三浦屋には特別の思い出がある。
仕事が安定していなかった頃、入金も当分先で、食べるものが尽きてどうにもならない時、よくこの三浦屋で食料を調達した。
野菜、果物、牛乳、チーズ、卵、パン、お肉、パスタ、甘いもの、お茶、などなど……ひととおり全部を三浦屋でまかなって、そうすると結構まとまった金額になるので、クレジットカードを使うのにためらいがなかったのだ。
凄く苦しい時、三浦屋に行って、貧乏なくせに結構いい食材のものを買うのは気がとがめたりもしたけれど、おかげで飢えなかったし、それほど惨めな気分にもならず、しのぐことができたので、私の命をつないでくれたと言っても大げさじゃない。
まあ、カードの請求はいずれ支払うことになるので(昔のツケみたいな感じかな?!)、別に三浦屋が助けてくれたわけじゃないけれど、そういう個人的な思い出と結びついたお店だったのだ。
それに、京野菜フェアなんていうのもたまにやっていて、その美味しさを初めて知ったのも三浦屋のおかげだったし、何か1品足りない時に買うちょっとしたお惣菜も便利だった。
調味料やお菓子など、地方のこだわりの品のようなものが期間限定で入っていたり。
きっと日本中をまわっていいものを買い付けしているんだろうなと思った。
フランスのチーズも充実していたし、オーガニックのオリーブオイルもあったし、卵も青梅の養鶏場の安心でおいしいもので……質においても安全性においてもレベルは高かったと思う。
レジの女の子たちは、丁寧にてきぱきと対応してくれて(袋の詰め方が素早くて、とてもきれいだった)、気持ちのいいお店だった。
以前、同じ職場にいたMさんは吉祥寺っ子で、「うちの母親、三浦屋に買い物に行く時、いつも三浦屋さんに行ってくるって、なぜか『さん』付けなのよね」と笑いながら言っていたのを思い出す。
Mさんのお母さんもさぞがっかりしていることだろう。
吉祥寺に馴染んでいない人にはなかなかわかりにくいかも知れないが、それほど吉祥寺と三浦屋は切っても切れない仲だったのだ。大島弓子の漫画にも時々出てくる。
今度は武蔵小金井に新しくできるらしいし、松庵とか他にも店舗はあるのだけれど、どこも私の行動半径から遠いし、やはりあのサンロード店じゃないと、「三浦屋さん」じゃない、という気がするのだ。
三浦屋で買い出し、その後セガフレード・ザネッテイでほっと一息……というのが、かつての私の黄金の日常パターンだった(セガフレード・ザネッテイはすでに2006年に吉祥寺から撤退……今はスターバックスが増殖するのみ)。
ロンロンの打撃のうえに、この昨今の不況のせいだろうか。
経営側からしても、長年この地で愛されてきたお店なのだから、きっと苦しい決断だったに違いない。
なんとも寂しい限り。
三浦屋跡に100円ショップなんかができたら、私は号泣します。
<追記――変わりゆく吉祥寺>
少し前には、タワーレコードも以前の場所から、今はヨドバシカメラの中へ移ったのも、衝撃だった。タワーレコードはあそこじゃなくちゃダメだったのだ。それほど大きくないビルの階段を上がって、2階と3階へ、というあの感じ。
お店の空気に独特のオーラみたいなものがあったが、ヨドバシの中では、それが揮発していた。売っているものは同じなのにね。
お店って、同じものを売っていれば、どこでもいいというものではないんだな。何か目に見えにない、磁場のようなものがあるに違いない。
あと、ロンロンの弘栄堂もBook1stに変わってしまったし。
とあるブログでも読んだけれど(『三浦屋吉祥寺店 閉店』で検索すると、閉店を惜しむ声のブログがいっぱいあります)、その変化がどうもいい方への変化ではないような気がする、というのには頷いてしまうのだ。
どれもこれも経済危機の余波?
| 固定リンク
コメント
店は黒字だったけど、あの場所を開けないと銀行が融資を取りやめると言い出したから売却したってのが真実なんですけどね。
もう時効だからバラしてもいいかなとそっと書き逃げ。
投稿: | 2018年9月20日 (木) 01:27
>そっと書き逃げ。
そーだったんだ!!(笑
懐かしいな。 井の頭公園にいたころ、たまに行きました。 たしか、カドのオープン・スペースで紀伊国屋のイギリスパンを売ってました。
横浜、神戸と移って24年。 東京へ戻ったら必ず行こうと思ってたのに。
店が明るくてはなやかで、、賑わいがあって、、寂しいね。。。
投稿: mitsu | 2018年11月 8日 (木) 17:42
書き逃げした人一体誰なんだ・・・・現在進行形で三浦屋従業員の自分ですが、その方の仰ってる通り銀行から融資取りやめの話が来た為、黒字だったため閉店したのですが・・・
投稿: | 2021年6月17日 (木) 01:28