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2008年11月 2日 (日)

三重への旅<2>――伊賀街道を訪ねて

 「三重への旅①」の続きです。
 最初の夜のこと。夕食を食べるため適当に決めたイタリアンの店が、名張から車で20~30分くらいの伊賀というところだった。
 私はもちろん、連れ合いも初めての場所だが、意外と面白い土地で、古い建物がたくさん残っている。そのイタリアンの「リストランテ チッタ」というお店も、古い町家づくりの日本家屋をレストランに改装したところで、なかなかよかった。

 というわけで、二日日は、この伊賀を訪ねることにした。

 Img_1589 来てみれば、歴史のある街で、伊賀街道といって、昔は栄えていたらしいことがわかる。
 今も古い街並みが残り、古い家屋をそのまま店舗にしているはきもの屋さんだとか、和菓子屋さんやすき焼き屋さんなどがあるが、さすがにかつての賑わいはなく、日曜にもかかわらず、ひっそりとしていた。

 左端のミニ屋根みたいのが「うだつ」。火事の時の火除けの役目。うだつが上がる、上がらない、というのはここから来ている。なんとも優美なうだつ。やはり、うだつは上げたいもんですな。

 趣のある古い看板はそのまま出ているけれど、もう継ぐ人もいないのか、戸を閉め切った店が多くて、ちょっと寂れた感じも。
 こういう古い町を活かしながらもっと活気があればいいのになあと、他所から来た人間が言っても何も始まらないのだが……。

 ガイドも何も見ずに出かけたのだが(連れ合いの家のネット配線がまだ済んでいなかったため、インターネットにもアクセスできず)、これまた意外な展開、この伊賀は、松尾芭蕉の出身地でもあったのだ。
 ラッキーなことに、この日は生家の見学料が無料だった。ここだけは、さすがに見学客で賑わっていた。
 Img_1607 また、少し離れた場所に愛染院というお寺がある。
 芭蕉翁故郷塚(写真)が建っていて、そこには芭蕉の遺髪が納められているという。







 そして、そこの小さな庭園にあったのがこんなの。 Img_1606_3

 連れ合いと「こんなところになんでバナナの木があるんだろー、風土に合わないよねえ」と不思議がっていたのだが、生家を訪ねてわかったのだ。
 これが芭蕉なのであった。バナナの木ではない!
 ちょうど花が開き始めていて、垂れ下がっている巨大な楕円形のは蕾(!)らしく、これがどんどんと皮が剥けるように開いていくらしい。
 上部にある緑のバナナ状のもの(というか、ほとんどミニバナナ)が、実。
 ユーモラスというか不思議というか、グロテスクでもあり(笑)。
 こんなのをペンネームに使っていたとは、芭蕉先生、モダンじゃありませんか。
 で、確かにバナナ科の植物であることに間違いはなく、唐から渡ったものだそうだ。
 でも、この実は食べられないそうだ。食べられないのに、なんでこんなふうに、いかにも食べられそうな形状をしているのか?
 見れば見るほど、不思議な植物である。
 私は、水芭蕉と混同していて、あんなふうな白い花だとばかり思っていた(ああ、教養がないっ!)。
 なんと、こんな異国情緒な木だったとは。

 という大発見に驚きつつ、街の方へ出て、みのむし珈琲店(これも芭蕉の句が由来の店名)という、店主おじいちゃん、お客さんはほとんど地元のおばあちゃん、というほのぼのした珈琲屋で、ホットケーキとブレンドで一服。
 そこに置いてあったガイドブックをめくって、夕食のため、伊賀の鉄板焼きのステーキのお店を予約。判断の基準がないので、ガイドブックにあった「創業25年」というので決めた。
 長く続いているのは、きっとおいしいからだろうと、ほとんど勘で。

 それから、辺りをドライブ。Img_1613
 この日の夕焼けを車内から。
 ちょっとヴィム・ベンダースの「パリ テキサス」チック。
 周りにビルがないので、空が広い

 
 さて、この勘で決めたHIROというステーキのお店、選んで大正解!
 伊賀牛というのは、神戸牛、松坂牛と並んで、この辺では昔から有名なブランド牛なのだそうだ。
 ふだんは牛肉なんてほとんど食べないのだが、いやあ、やはりいいお肉は美味しい。
 鉄板でさっと焼いて、ブランデーをかけて燃え上がる炎を演出――上等な牛肉はプロの手で料理されたものを食べるに限るなあと思う。 
 ステーキの前には、サラダも出て、お肉のほかに野菜の鉄板焼きもあり、最後はお肉の脂でガーリックライスをつくってくれる(このセットで、あとフルーツ少しとコーヒー付きでひとり4,000円とは、お値段も良心的)。
 とってもバランスのよい流れ。でもって、食べ終えた後に気づくのは、お肉から始まって最後はガーリックライスで結構なボリュームだったはずなのに、全然胃にもたれないということ。Img_1616_2

 このお店の息子さんは東京の大学生だとか。でも継がせる気がはないとご主人は言う。
 鉄板の前に立ち、肉を25年間も焼き続けて、息子を東京の大学に行かせるなんて、たいしたもんだなあと思う。 

 というわけで、予定も立てずにふらっと出かけたわりには――この辺のアバウトさ(笑)が私も連れ合いも同じ感じ――楽しくておいしい日帰り旅行となった。
 期待していなかっただけに、驚きがあり、新鮮だった。
 東京から離れてみるのも、よいものです。

 次回、さらにディープな「三重の旅③」へと続きます。

 

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