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2008年1月27日 (日)

西への旅②伊勢神宮編

 1月14日(日)は、伊勢神宮 へ行った。
 連れ合いは二度目、私は生まれて初めて。

 大阪からは、近鉄特急に乗って2時間弱、宇治山田駅下車。
 駅に着くと、曇り空で風もあり、空気が冷たい。
 さて、宇治山田からバスで15分くらいのはずだったが、なんと1時間半!近くもかかってしまった。
 その日はまだ新年の参拝客も多く、そのうえ成人式もあり、大渋滞だったのだ。
 走っているより止まっている時間の方が長いというありさま。
 ここまで来て、伊勢神宮へ辿り着けないのでは――神社はきっと遅くなったら入れないだろうし――という不安がよぎった。
 他の乗客も同じようなことを思っていたらしく、「運転手さん、途中で下ろしてもらえないの?」と言う人も出てきたが(もちろん、バスは神宮直行なので下ろしてもらえない)、なんとか無事到着。3時過ぎだったろうか。
 ちなみに、バス亭の目の前は、戸を閉ざした「赤福」のお店だった。
 観光バスが数え切れないほど並び、人がわらわらと出てきては、神宮へ向かう光景は、なかなか壮観。
 日本中のすべての人が神宮へ向かっているかのような錯覚に陥る。
 甘酒を飲んで少し体を暖めてから、神宮へ向かう。
 バスに乗っている間も、神宮に近くなるにつれ緑が増えているのには気づいていたが、すでに森閑とした気配が漂う。

 とにかく広く、外宮と内宮と、さまざまにあるらしいのだが、日帰りですべて回るのは無理だし、初めてだし、とにかく内宮に入って天照大御神をお参りできればいいね、ということになる。
 Img_1307 というわけで、すぐに神宮の中へ。
 鳥居をくぐると、すぐに五十鈴(いすず) 川にかかる橋がある。
 橋からの景色を眺めた途端、得も言われぬ気持ちに包まれる。
 そこから、すでに異次元へ誘われるような感じで、明らかに空気が違うのである。
 曇り空だったのが、いつの間にか陽も差してきて、川にきらきらと反射してる。川の水は冷たく澄み渡っていた。



 清々しい空気、そして天を目指してすくすくと伸びた巨木に心を奪われる。
 どうしたらあそこまで高くなれるのか?という杉の木が、一本や二本ではない、歩いていると次から次へと現れる。

 

 内宮に鎮まる天照大御神――だが、お参りできるのは手前まで。
 でも、それがかえって神秘的な感じで、よいなと思った。Img_1310_2
 賽銭箱の向こうには、白い布がかけられていて、風にはためいていた。
 白い布一枚が、何か境界を現しているかのようだった。
 その白さが印象的で、染織家の志村ふくみさんが、伊勢神宮では白い布を奉納するための儀式があることをエッセイのなかで書いていたけれど、きっとそのような布が使われているのだろうと思った。

←階段を登り切り、鳥居の向こうにお賽銭箱 (一般の参拝者はここまで)、そして白い布……その向こうに、天照大御神。

 お参りする時は、あまり一方的にお願いすることは控えているけれど、今回だけは、はるばる遠方から来たわけだし、お伊勢さんだし……と、いろいろお願い事をしてしまう。 
 でも、このはるばる来たという、遠さがいいんだな、ありがたいんだよなとも思う。
 自宅から徒歩5分だったら、こんなありがたみはないだろう(実際に近所に住んだら、また全然違う感覚だろうけれど)。


 
 ちらりと見える社の一部。Img_1311  
 社は壮麗な造りではなく、簡素で質実剛健というのか、周りの自然と溶け合っている建物。
 削り出したばかりのような丸太が使われていたりする。

 





 歩いている間中、心身ともに軽く、とても気持ちがよかった。
 心身の邪気が抜けて、浄化されるような感じ。
 連れ合いも同じように感じたと言う。
 完全に現実世界からは切り離されている感覚で、伊勢神宮中に漂う清浄感と神々しさ――それは巨木や川、そして空気そものもなど自然を通して感じられるもの――は、初めての経験だった(かろうじて近いものは、イギリスのSt.Albansという田舎の、人里離れたバラ園とその周辺の自然で感じた感覚だろうか)。
 古来から、お伊勢さんを目指して人々がやって来たのもよくわかるような気がした。
 土地そのものにパワーがあるに違いない(パワースポットというのか)。
 ルルドの泉なんかもこんな波動があるのかもとか、いろいろ思ってしまった。
 だから、神様が祭られることになったのだろう。
 そこ(聖地)に行くと、病気が治るというエピソードもあながち迷信と言えないかも。
 やはり人は、時にはこういう神聖な場所へ行くことが必要なんだなと思う。 
 伊勢神宮は、神様を拝む場所でもあるけれど、自然に畏怖し、自然を敬う場所でもあるのだ。
 日本にはこういう波動の高い場所が、多いのではないかと思う。
 簡単に一言では書けないが、自然と融合した日本人の宗教観というようなものは、誇るべきものなのだと思う(今はほとんど失われつつあるが……)。

Img_1316  名残惜しいけれど、お守りを買って、神宮を後にする。
 暮れかかった空に、山が黒いシルエットになって浮かび上がっていた。






 

 

 そして、外へ出て、おかげ横丁へ出ると一転、聖から俗へ。Img_1319
 「なんだかよくできてるよねえ」と連れ合いと言い合う。
 ちなみに、おかげ横丁の一番手前の入り口も、今は閉ざされた「赤福」。
 お伊勢さんのおかげでたくさん商売をさせてもらっていたはずなのに、随分とばち当たりなことをしたな……と思う。
 しかし、その場で食べると美味しそうなものはいっぱいあるけれど、お土産は他にこれといったものがないのも確か。「赤福」が営業していたら、絶対に私も買っていると思う。
 Img_1317 名物の手こね寿司とうどん(柔らかく茹で上げたうどんに、甘辛い汁をからめたもの)のセットを食べる。
 それから、松坂牛を使った「福まん」などを買い食いしているうちに、どんどん暗くなって、どんどん風も強くなる。やはり周りを森に囲まれているせいか、凄く寒い。
 店じまいがどこも早いので、私たちも引き上げることにする。


 帰りは、バスでちゃんと20分弱くらいで、宇治山田駅に到着した。
 その夜は、途中で買った奈良の柿の葉寿司を夜食につまみながら、日本の聖地巡りをしてみたいねえと、ネットで「パワースポット」なんかを検索しつつ、話し合う。

 今でも、あの空気の清々しさを思い出すと、何とも言えない気持ちになる。
 何より、そんな時間と場所を連れ合いと共有できたことが、かけがえのない思い出だ。

 *来週末は、最後に「西への旅③おまけ編」です。 



 

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コメント

伊勢神宮には行かなかったけど、新婚旅行が奈良・京都・大阪(国立民俗学博物館)だったので、柿の葉ずし、懐かしいです。
自転車で明日香めぐりをしてた時に、通りがかりのおすし屋さんで買ったんですよ。
駅弁のものよりもダントツに美味しかったです♪
まえの「自由軒」やレストランの建物のお話もたのしかったので、続きを待ってます。

投稿: ローズ・マダー | 2008年1月30日 (水) 21:47

ローズ・マダーさん
奈良・京都も行きたいなと思っています。
私は中学校の修学旅行で行ったきりなので、大人の目で(笑)、
古都を見直したいです。

次回の「続き」は、ほんとに「おまけ編」です。

投稿: Kate | 2008年1月30日 (水) 23:54

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