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2007年1月 1日 (月)

Gott Nytt Ar!!☆トーベ・ヤンソンを想いながら、新年おめでとう!

Gott Nytt Ar!! 
 スウェーデン語で、新年おめでとう(よき新年を)! 
(本当は、Aの上に小さな○が付くのですが、特殊文字が出ませんでした)

 クリスマスにトーベ・ヤンソンのことを書いたので、引き続き、新年第1号も大好きなトーベ・ヤンソン特集です。
 トーベ・ヤンソンというと、海のイメージがあり夏を連想するけれど、ムーミンシリーズには冬を舞台にした物語もあり、それが実にいいのだ。外の自然が雪に閉ざされているせいか、ちょっと内省的になっていて、哲学的だったりもする。
 北欧の冬の暗い海に想いを馳せるのもまたよし――ということで、トーベの世界へどうぞ!
 
 さて、自伝的な作品彫刻家の娘 は、彫刻家のパパと暖かいママに見守られ、フィンランドの自然のなかでのびのびとすごしたトーべ・ヤンソンの子ども時代のお話。そこに繰り広げられるのは、本当にムーミン谷さながらの生活。
 
 銀色に輝く素晴らしく美しい石を見つけ、転がしながら持ち帰ろうとする「わたし」。「わたし」は、何時間も大きな重い石を一心に転がし続ける。

――ほんとうに大切なものがあれば、ほかのものすべてを無視していい。そうすればうまくいく。自分の世界に入りこみ、目をとじて、おおげさな言葉を休まずつぶやきつづける。そのうち確信がもてるようになる。

 でも、やっと家まで辿り着いたところで、その石を階段から落としてしまい、石は粉々に砕け散ってしまう。

――わたしは二重扉にはさまれたまま、だまっていた。事件がおさまってからも、だれにもなにも言わなかった。わが家がもうすこしで大金持ちになるところだったことを知る人はいないのだ。

 と、自分だけの秘密にしてしまうのが、いかにも子どもの頃のトーべらしい。

 そして、小さな女の子とおばあさんの島での生活を描いたのが、少女ソフィアの夏
 人生の入り口に立ったばかりで、この世界に怯えながらも冒険したくてたまらない少女と、人生の出口を見つめ始め、過去――自分の子ども時代など――を振り返るおばあさん。 
 正反対の世界にいるようでいて、実はとっても近い世界に生きているのは、どちらも現実社会から離れていられるから。

 労働とか責任とか、そういうもろもろから許されている子どもと、とりあえず役目を果たして解放されている年寄り。いろんなしがらみもなくて、ピュアでいられる。だから児童文学では、子どもとおばあさん(おじいさん)との関係がよく描かれてきたのだろう。

――おばあさんは、杖をぎゅっとにぎりしめ、風にむかって歩いていった。薄墨色の夜明けが美しかった。空を、長くて、まっすぐおなじ方向をむいた雨雲がならんで流れていき、深緑色の海には、三角波が白くひしめきたっていた。まもなくおばあさんは、浜の草原がすっかり水びたしになっているのに気づき、ソフィアが岩のむこうから走ってくるのが目に入った。ソフィアがさけんだ。
「沈んでる! 宮殿がない!」
 遊び小屋があけっぱなしで、ドアが風になぶられ、バタンバタンしていた。
「寝てなさい」おばあさんが言った。
「パジャマをおぬぎ。びしょぬれじゃないか。ドアをしめて寝るんだよ。宮殿は、おばあちゃんがさがしておくから。約束する。きっと見つけてくるからね」 
 ソフィアは、口をあけたまま泣いていた。なにも聞いてなどいなかった。とうとうおばあさんは、ソフィアがちゃんとベッドに入るように、遊び小屋までいっしょに行った。
「おばあちゃんが見つけておくからね」おばあさんはもういちど言った。

 白い大理石を宮殿に見立てて遊ぶこと。その宮殿が暴雨で流されてなくなってしまうこと……ソフィアにとっては人生の一大事だ。
 ソフィアとおばあさんは、孫と祖母、というより、お互い対等なひとりの人間同士として向き合っている感じなのがいい。これはムーミンシリーズでも一貫している。おとなと子ども、とか、親と子、というよりも、独立した個人同士としての関係が描かれている。

 トーベは、実際に小さな無人島を持っていて、小屋をつくり、そこで夏をひとりですごしていたそうだ。嵐が来ると、波にざぶんと洗われてしまうような、本当に小さな小さな家。私にとっては、究極の理想というか、憧れの家だ。

 Kunel_2今発売中のku:nel (クウネル) 2007年 01月号 [雑誌]がヤンソン特集で、その島の取材記事が載っている。
 表紙が素敵! ヤンソンの、その小さな海の小屋に残されていた小箱。地図を貼った箱のなかには、絵葉書やトランプ、キャンディーなどがそっとしまわれている。
 なんと言っても、クウネル取材班がその島へ直に取材に行っているということが凄い。ボートでしか行けない島であり、電気も水道もない無人島なのだから。丁寧に取材されていて、ヤンソンの生前の島での暮らしぶりがよくわかる。



Img_0605_1

             

       クウネルの本文ページより転写→

 そして、『少女ソフィアの夏』のモデルとなったトーベの母親と姪のソフィアの昔の写真も、クウネルには出ていて、必見! 物語のイメージそのままで嬉しくなる。





 

 ちなみに、このスナフキンのカードは、トーベ・ヤンソンから送られたもの! 大昔、私が10代の頃、ファンレターを書いたら、本当に本人の直筆で返事が来たのだ(宛て名もトーベ本人自身の筆跡だ)。Img_0606_2「スナフキンによろしく」などと書いたら、「スナフキンとトーベから愛を込めて」なんて返事をくれた。世界中から届くファンレターに、すべて返事を書いている、というのは、本当の話だったのですね! 
 一生の宝物。机の前に飾ってある。 



 

 Tove3

           
そしてこれは、2005年の夏に新宿伊勢丹で行われた             トーベ・ヤンソン展のときに飾られてTove2_1いたパネル。トーベ自身の周りをミイやムーミンたちが取り囲んでいる楽しい絵。今は大人となっているソフィアのサインも会場に飾ってあった。






――ものごとってものは、みんなとてもあいまいなものよ。まさにそのことが私を安心させるんだけれどもね。
『ムーミン谷の冬』より

 「おしゃまさん」の、この言葉が好き。
 今年も、自由を孤独を愛しながら、創造的なトーベ・ヤンソンの世界に繰り返し触れようと思う。

Img_0602

☆追記☆
ムーミンといえば、アニメのムーミンで、ムーミントロールの声が岸田今日子さんだった。私も初めは子どもの頃、アニメでムーミンに出会った。あの声は、いつまでも耳に残ることだろう。

←コーヒーを飲むときに使っているアラビアのムーミン・マグ。このマグは、なんとなくウィークデイの朝専用。

 

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