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2006年12月21日 (木)

大竹伸朗「全景」――夢に出てきそう

 前から行きたかった大竹伸朗「全景」 、いよいよ今週末まで、その日はきっと激しく混むだろうしと、今日(20日の水曜日)は思い切って有休を取り、観に行った。
 快晴ではないけれど、銀色の雲が浮かび、光がやけに透明な空が広がっていた。なんだか美術館日和なお天気。
 スープとフレンチトーストと紅茶のたっぷりのブランチで腹ごしらえをして、ジーンズにスニーカーという疲れない出で立ちで、万全の準備態勢で東京都現代美術館へ。

 美術館へ着いて、すぐ目に飛び込んだのが、これ。
        ↓

Img_0549 これでもう、美術館に入る前から一気にぐっと気持ちをつかまれて、まだ観てもいないのに、来てよかった!と思う。
 これは、会場である東京都現代美術館の外観。
 愛媛県宇和島は、大竹伸朗さんが今、活動の拠点にし、暮らしている土地。
 宇和島駅の古い駅舎が取り壊されるときに、貰い受けたのだそう。



 会場に一歩、足を踏み入れると、とにかくその膨大な作品数に圧倒される。
 スクラップブックのその密度というか強度というか……。Img_0550_1
 スクラップブックを作るきっかけは、ロンドンのアンティークマーケットで購入した、誰か(昔の一般の人だろう)が作ったマッチ箱のラベルを貼ったスクラップブック。それを見て感動し、これをオレがやらずに誰がやる!と思ったそうだ(NHK『新日曜美術館』より)。

 スクラップブックを構成しているのは、外国の昔のB級な写真や絵、ゴミ、キッチュなラベル、と、変なものばかりなのに、彼の手にかかると、大竹ワールドとしか言いようのない不思議でおもしろい、そして力強い何かが立ち現れてくる。

 どこの誰ともわからない、古いヨーロッパの家族写真をびっしりと貼り込んだ作品。
 まるで何か時間の地層を埋め込んでいるような、平面なのに立体的なような……。

 スクラップはその膨大さと密度に、絵はその大きさに圧倒される。
 わかるとかわからないとか、好きとか嫌いとか、そういうのを超越して、「全景」が醸し出すエネルギーに圧倒されるばかり。
 と、圧倒という言葉ばかりを繰り返してしまうが、美術を語る的確な言葉を持ち合わせていないから、もどかしい。
 でも、フツーのオバサンふたり連れも、「凄いわねえ」としきりと感心していたから、それでいいのだ、と思う。

 凄い。圧倒される。エネルギーがある。それもポジティブなエネルギー。
 そんな言葉でしか語れない……ので、解説は、専門家に任せよう。

 彼の作品から受けるエネルギー(=生命力)の源は、彼がアートから離れて、10代の頃、美大を休学し、北海道の牧場で働いたことから来ているらしい。
 「それまでサッカーをやって、絵を描いて、アンディー・ウォーホールがどうの、なんて言ってたのが、いきなり牛のクソ出しでしょう」(NHK『新日曜美術館』より)というようなことを言っていたから。

 東京のゴミを集めた「ゴミ男」と、そこに流れる奇妙なループ音(東京で拾い集めた音)が印象に残った。あと、「ニューシャネル」(これはなんと説明したらよいのか?!)とか、「日本景」などがおもしろかった。ワビサビとは程遠い「絶句景」としか言いようのない(笑)、奇妙な日本の風景たちがテーマ。

 とにかく彼は、ゴミみたいなもの、どうしようもない景色だとか、「ニューシャネル」の、「そう言えばあるよね、こういう昭和40年代風の書体とネーミング」みたいなものとか、錆びた船の廃材とか、フツーの人が見過ごしてしまうような、いや、目にも留めず意識にも上らないものを、掬い上げる。
 そして、他の誰にも真似できない感性と確かな技術で、それらに息を吹き込み、作品にする。そういうことができる人を天才と呼ぶのだろうか。
 作風もさまざまで、とてもひとりのアーティストから生まれたと思えない多彩さ。

Img_0551 

 美術館を出る頃には、日も暮れかかり、宇和島駅のネオンが灯っていた。

 
 

 
 
 
 
 

 ところで、会場で耳に拾った言葉の数々(言葉のスクラップブック?)。

「うちのカミサンの祖先って、落ち武者の末裔だったらしいんだ。で、代々女系で狂う人が何人が出ているらしいんだって。それってさあ、俺に覚悟せえ、ってことなのかなあと」
――30代らしき男性、友人数人らと、「ダブ平、ニューシャネル」という遠隔演奏ノイズバンドのコーナーにて。会話の前後の脈絡は不明。

「あー、圧倒された。今夜、夢に出てきそう」
――20代くらいの女性、出口で、友人に。

女「これ、ほんとに駅みたいだよね」
男「えっ、駅じゃないの?」(どうやらウケねらいの冗談ではなさそう)
女「えーっ、だからこれはね、大竹伸朗が住んでいる宇和島の駅のネオンなのよお」
――美術館の外にて、男女数名のグループ。ここは、木場だってば(笑)。

 今夜は、私も夢に彼の作品が出てきそう。というか、出てきたら嬉しいんだけど。

 この展示会は、24日まで。
 大竹伸朗ファンは、ぜひ!
 それほどの大ファンじゃなくても(実は私がそうだった)、圧倒されに行く価値あり!
 行って観た後には、大ファンになっていること間違いなし。

☆会場では、入場者ひとりひとりに、「ジャリおじさん」のクリスマスカードが配られました。


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