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2006年12月23日 (土)

God Jul

 いよいよクリスマス。
 年の瀬の実感が湧かないと言い続けているけれど、さすがにクリスマスがやって来ると、やり残したことを悔やんでじだばたしても仕方がないから、この季節を受け入れようという、ちょっと穏やかな気持ちになってくる。
 クリスチャンでもないのにクリスマスなんて、というのはいつもどこかにあるけれど、クリスマスは、キリストの生誕を祝うだけでなく、自然に対する深い意味合いも含まれているお祭りなのではないか?……と思うので、たいしたことは何もしないが、気持ちだけはお祝いしている。
 暗く寒い冬の真ん中で、次に巡る春や生命の息吹に思いを馳せる。その象徴として、緑色のモミの木や赤い色のものが使われるのだと思う。

Img_0558  バカラのシャンデリアはないけれど、バカラの天使なら、うちにいます。
 随分前に購入したもので、バカラもわりとすぐにモデルチェンジしてしまうので、たぶん同じものは、もうどこにもないはず。
 シルエットがマリア様っぽくもあるのが、気に入っている。
 目につくところに一年中出しているので、取り立ててクリスマスのものではないのだけれど……こうして、キャンドルを灯すと、クリスタルが輝いて美しい。


 







 さて、今日は、ムーミンシリーズの作者トーベ・ヤンソンの自伝的作品彫刻家の娘 の中から、クリスマスの思い出を綴ったページをご紹介します。

 Tj_4両親と楽しくすごし、人に分け与え、やさしさと静けさに包まれた、それはそれは美しいトーベ・ヤンソンのクリスマスの思い出。

――パパとわたしは毎年決まった日の朝六時に起きる。モミの木は暗がりの中で買うものだ。スカット岬から反対側の街はずれに歩いていく。
 そこには大きな波止場があって、モミの木を買うにはうってつけの背景だ。木を選ぶには何時間もかける。枝の一本一本を疑り深く調べる。枝が幹にさしこんであるだけのこともあるからだ。木を買いに出かけるときはきまって寒い。
 パパが木のこずえで目をついてしまったこともある。夜明け前の闇に、寒さにふるえながら木をさがしている人影が黒くうきあがり、モミの木の小枝が雪の上に落ちて、まだらもようをえがいている。波止場と市場のあたりに、危険と魔法がただよっている。

――スウェーデンでは自分の家でソーセージをつくり、キャンドルをこしらえ、小さなバスケットを数か月ものあいだ貧しい人々に運ぶという習慣がある。
 母親たちは夜中にぬいものをしてプレゼントをこしらえ、クリスマスイヴには光の聖女ルチアに変身する。はじめてルチアを見たパパは仰天したが、それがママだということに気づいて笑いだした。それ以来、イヴにはかならずルチアをやってくれとママにたのむように なった。
 わたしは寝棚に横たわり、階段をのぼってくるルチアの足音に耳をすます。ルチア役もらくじゃない。すべてはまるで天国のように美しい。このときママはスウェーデンの風習にならって、ブタ形のアーモンド菓子を持ってあらわれ、ほんのちょっぴり歌をうたい、パパの寝棚にむかう。ママはのどが弱いので、一年に一度しか歌を披露しないのだ。

――クリスマスの終わりほどやすらかなものはない。すべてがゆるされたあと、いつもの生活がはじまるのだ。
 何日かたってから、クリスマスの品物を戸棚にしまいこむ。ストーブではモミの小枝がぱちぱちはじけている。幹は来年のクリスマスに燃やす。
 石膏箱のそばに立てかけられたモミの木の幹は、この一年のあいだ、すべてを包みこむクリスマスのやすらぎを思いださせてくれるのだ。        
『彫刻家の娘』トーベ・ヤンソン著/冨原眞弓訳/講談社より

 
 ムーミンシリーズは、トーベ・ヤンソンのこんな豊かな子ども時代にルーツがあるのだなと思う。
 クリスマスになると、繰り返し読みたくなるページ。

 ところで、西荻のとあるコーヒーショップの前に、筒の中にモミの木の枝が入っていて、「ご自由にお持ちください」とあるのを発見。店内に飾るモミの木を剪定したのだろうか。
 それを喜んでもらって帰り、適当にアレンジしてみたのが、これ。Img_0555
 アレンジなんてというほどのことはなく、松ぼっくりとリボンを付けて、壁に飾っているだけなのだれど(笑)。
 最近は、モミの木もどきのツリーばかりで、本物のモミの木なんてほとんど見かけなくなったので、嬉しい。たった一枝でも、針葉樹独特の深い森のような香りがする。
 
 それから、タイトルのGod Jul(ゴー・ユール)は、スウェーデン語のメリークリスマス。
 トーベ・ヤンソンは、スウェーデン系のフィンランド人で、作品はスウェーデン語で書かれているとのことなので、それにちなんで。

 皆さん、よいクリスマスを!
 God Jul!

 
☆追記☆
 先週買ったウェスティンホテル東京のシュトーレンはやはり美味です! どっしりとしたいかにもドイツケーキという風味でありながら、適度にスパイシーで、ドライフルーツの量も多すぎず少なすぎず、という感じで。
 オーガニック系のベーカリーのも試したことがあるけれど、あまりにストイックすぎて、ぽろぽろ崩れてきて、今ひとつ。
 大好きなPAULのシュトーレンは、さすがにフランスのベーカリーのせいか、ちょっと甘味が強くしつこい感じで、これも今ひとつ。
 というわけで、ここ数年食べているシュートレンのなかでおすすめ品は、オーバカナルかこのウェスティンホテル東京です。来年は、どこのシュトーレンにしよう?!
 

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