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2006年11月25日 (土)

初冬の味と本と音と

 寒い日のお楽しみは、熱い紅茶と本と……。
 今日は、この季節しか出回らない貴重な紅玉で焼きりんごをつくってみた。
 この前、つくった時は、焼きすぎてりんごの原型を留めずグズグズのジャム状になってしまった(泣)。今回はまあまあの出来栄え。酸味があっておいしかった。
 芯をくり抜いて、中にバターひとかけとメイプルシロップとシナモンを入れて、アルミホイルにくるんでオーブンで焼くだけ、という自己流レシピ。
 2つ焼いて、1個は熱々のを食べ、もう1個は冷蔵庫で冷やして、明日の朝のお楽しみ。
 
 Img_0515さて、今読んでいるのは、水村美苗の『本格小説』(上) (下)
 カバーの絵はウィリアム・モリス。
 水村美苗というと、夏目漱石の『明暗』の続編・『続明暗』だとか、英語交じりの横書きの小説などがあり、敷居が高い感じがして、なかなか読む機会がなかった。でも、ここ最近、私の周りでこの『本格小説』を高く評価する人が多いので、手にしてみた。
 正統的な恋愛小説というものも久しく読んでいないし。
 というわけで、読み始めてみると、本当にこれは読みやすい!……というのが、賞賛の言葉になるのかどうかわからないけれど、ぐいぐい引き込まれる。
 舞台は昭和の軽井沢、身分違いの恋という、ブロンテの『嵐が丘』を彷彿とさせるストーリーなのだけれど、全然陳腐じゃないし。
 言葉の力だけで、別の世界へ連れて行ってくれるという、この感覚、久しぶりのような気がする。『本格小説』というタイトルにも納得。

 しかし、凄く長くて、文庫版上・下、各600ページ近くある。 
 ここのところ、自宅でも仕事のための本を読むことが多く、引き込まれると言いながらも、実は上巻の「本格小説の始まる前の長い長い話」がまだ終わっていない! だって、この序章だけで、すでに230ページほど。最近のちょっとした小説1冊分くらいあるのだ。
 だから、まだ話の中心に辿り着いていないのだけれど、序章であることを忘れてしまうくらいおもしろい。この部分は、著者自身の自伝的物語と捉えてよいのだろうか。
 平日の夜はベッドの中で眠るまでのひと時はこの本を読むことにしている。眠る前は、評論とかはあまり読みたくないので、ちょうどいい感じ……なのだけれど、おもしろくて、つい読みすぎて、ふと気づくと1時間くらい経っている……ことも、しばしば。
 それでも、このペースだと、完読するまでに年末年始にかかってしまうかな……。
 年明けにでも、また全体の感想など、書くかも知れません。 

 Sg2そして、今いちばんお気に入りの音楽は、シャルロット・ゲンズブールの新しいアルバム“5:55”。父・セルジュ・ゲンズブールとのアルバムから、なんと20年ぶり。
 当時のアルバムも素晴らしかったけれど、バックの音がチープだったような記憶が(笑)。でも今回の“5:55”は、レディオ・ヘッドのプロデューサーが協力しているらしく、奥行きがある感じ。ちょっと息が洩れるようなウィスパー・ボイス、フランス語訛りの英語の歌詞と、20年経っても少女のようなシャルロットの世界は変わっていなかった。
 どこにも出かけたくない寒い休日、部屋にこもって聴くのにはぴったり。
 でも、そうか、シャルロット・ゲンズブールもレディオ・ヘッドが好きなのか……と思った。
  「フレンチ式しあわせの見つけ方」という映画で、CDショップの試聴器で、たまたま同じ曲を聴いていて目が合い恋に落ちる――シャルロットと相手はジョニー・デップ!――というシーンがあったのだけれど、その時の曲がレディオ・ヘッドだったのだ。
 カメラがふたりの周りをくるくる回り、下手すると安っぽくなってしまうのだけれど、そうはならず、不思議に美しいシーンだった。
 「本格小説」的恋愛なき現代においては、こんな日常のシーンが最もロマンティックだと思う。ま、これも映画で、現実にはありそうでないシーンですが。ジョニー・デップがそこら辺にいないのと同様に(笑)。

 寒くなると、読むことや聴くことに没入できるし、りんごも美味しいし、この季節、結構好きです。

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コメント

いよいよ読み始めですか!
序章が終わるとまた新しい世界が開けて
読むスピードがより速くなるのではないかと思いますよ。
できれば、感想楽しみにしてます。

投稿: ローズ・マダー | 2006年11月29日 (水) 08:29

ローズマダーさん
昨夜、序章が終わりました。
そう、いよいよ加速されていく感じです!

投稿: Kate | 2006年11月30日 (木) 00:18

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