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2006年10月 9日 (月)

新進気鋭の建築家 黒崎敏さん

 ドラマ「結婚できない男」で主人公桑野信介の職業は、建築家。このドラマのせいで建築家が脚光を浴びている(?/笑)――というわけでもないのでしょうが、今日は、ドラマではなく、実在するリアルな建築家の方の話題。
(以下、以前のブログで2005年8月に書いたものを加筆・修正したものです)

 1_4もう4年ほど前のことだが、シングル女性が建築家に依頼して個性的な一戸建てを建てるという、なかなか勇ましい内容の本の編集を担当したことがある。タイトルは『女ひとり 思いどおりの家を建てる』(杉本薫著/マガジンサポート)、一度絶版になり、現在、改訂版が出て、シングル男性の家の事例も加え、建築家とつくる私だけの小さな家 という本になっている。
 シングルの女性が一戸建て?! そんな女性いないだろう!と思うかも知れないが、これが探してみると、確かに大勢はいないけれど、そこそこいたのである。
 だいたい皆さん、マンションを買おうかと思い探す→でも、気に入った物件がない、お仕着せのインテリアがいやだ(その他もろもろ)→建築家に辿り着く、というパターンが多かった。
 また、大手のハウスメーカーは一戸建てだと、「夫婦+子ども2人」というような家族像を基準にしてしまい、シングルは想定していないことがほとんど。しかし、建築家だと住まい方について1から相談できるし、コスト面でも考えてくれる。だから、建て売りをポンと買うのと違って、エネルギーは必要だけれど、納得のいく住まいを手に入れたければ、建築家に依頼するに限る!という結論に至る。今、そういう個別の要望に応えようとする建築家(それも若手の方)も大勢出てきているので、おもしろい時代になってきたと思う。

 さて、『女ひとり 思いどおりの家を建てる』の制作のなかで、取材させていただいたひとりが、黒崎敏さん。新進気鋭の若手建築家。
 黒崎さんは、神田神保町の、わずか7坪というスペースに、コンクリート造4階建て(+小屋裏)のSEVENという家を設計。7坪なので、SEVENという名前になったとのこと。
 コンクリート打ちっ放しの室内に、イームズの椅子が映える美しい空間。狭さを逆手に取り、縦に伸ばし、階段をひとつの舞台装置のように考えて設計されていたのが印象的だった。階段を上がるたびに、見える景色が変わっていく、というような感じで。
 取材の際は、建築家が設計すると、こういう空間になるんだ……と、吹き抜けを見上げながら、しきりと感心していた私。
 コンクリート自体もつやつやとした光沢を放っており、実に滑らか。かなり良質なものを使用しているそうで、コンクリートにそんなふうにグレードの差があるということも、初めて知った。コンクリート=冷たい、味気ない、という偏見がなくなった。

 2_1SEVENは、ありえない家 トーキョー狭小住宅物語 という本でも、詳細に取り上げられている。
 この本は他に、「ナチュラルエリップス」(建築設計/遠藤政樹氏+構造設計/池田昌弘氏)と「ロカーリ・パーリ」(建築家/舩津基氏)という、普通の発想からは思いもつかない、ぎりぎりの狭小土地のなかに建つ二軒の魅力的な家も掲載。
 特に、「ナチュラルエリップス」という独特なフォルムの家の設計にあたっての、構造計算と構造設計における苦労や緻密な進め方は感動的。実際に施工にあたるプロフェッショナルな人々……家というのは、実にたくさんの人たちの苦労や技が結集しているんだなと改めて思う。
 特に最近は「構造計算」なんてと言うと、耐震強度偽装問題が浮かぶけれど、本当はこんなふうに真剣に建築というのものに取り組んでいる人たちが大勢いるのだ。
 それにしても、東京という最悪の条件の場で、建築家の皆さんは涙ぐましい努力――それこそ利益が出るかどうかのせめぎ合い!――をしていらっしゃるなあとしみじみ。

 まだ30代の黒崎敏さんは、APOLLO というアトリエを主宰。家を建てたい人、建てられなくても美しい家を見てみたい人、HPをどうぞ。
 このSEVENでデビュー、話題になった方ですが、狭小住宅専門というわけでは決してなく、大きな家や集合住宅も手がけていらっしゃいます。

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コメント

どうも!朝妻です。

黒崎敏さん、存じ上げています。
黒崎さんはとても話しやすくていい方ですよね。

『今度一緒に仕事しようね』とあるプロジェクトでのコンペに参加を依頼している最中です。

ひょんな所でつながりますね。
実に面白い!
こういうことって、わりとよくありますよね。

投稿: 建築プロデューサー 朝妻 | 2006年10月10日 (火) 08:56

朝妻さん
黒崎さん、ご存じでしたか!
偶然ですねえ。
黒崎さんは話しやすいし、話題豊富で楽しいし、相手のことをよく考えてくれるし、でもってご本人も素敵(!)ですし――桑野信介とは大違いですね(笑)――今後、大物になるに違いないと思ってます。

私はもう住宅関係の本の編集には携わっていないので、なかなかお会いする機会もないのですが、よろしくお伝えください!

投稿: Kate | 2006年10月10日 (火) 20:54

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