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2006年8月13日 (日)

夏休みの始まりは「アメリ」

  

Amelie いよいよ今週末から夏休み。嬉しいので、Paulのパンを食べながら久々に「アメリ」 を観た。観るのは、もう4回目か5回目くらいかも。観るたびに新しい発見があって、飽きない。
 とにかく、アメリを演じるオードレィ・トトゥが圧倒的に可愛い! いわゆる金髪碧眼のグラマラスな美人じゃなくて、20歳を過ぎてもガーリーテイストたっぷりの、オリーブ少女――これも死語だけど――的な魅力の女優。もし、映画公開当時「オリーブ」がまだあったら、絶対「アメリ特集」が組まれていたと思う。
 オードレィ・トトゥの美しさを際立たせるシンプルな可愛いらしい衣裳、カフェや部屋のインテリア、証明写真の撮影ボックス、ちょっとした小道具、脇役の一人ひとりなどなど、すべてが完璧。 
 アメリの部屋の絵やランプのブタ君は、ドイツの画家ミヒャエル・ゾーヴァによるものだったりするし。公開当時は、ミヒャエル・ゾーヴァはあまり知らなかったので、ちゃんと観ていなかった。
 ヤン・ティルセンのサントラがまたぴったりで、この音楽なくしては、「アメリ」の魅力はなかったろう。アコーディオンの懐かしい音色に、オルゴールや古いシャンソンなどが渾然一体となっていて独特の世界を醸し出し、不思議な高揚感がある。私はサントラ盤も持っていて、これも何回もくり返し聞いている。
 舞台も、パリのモンマルトルの下町っぽい雰囲気なのがいい。
 
 主人公のアメリは、人生の一歩を踏み出せないもどかしさを抱えた内向的な女の子。
 だから、ラブリーでロマンティックな映画を装いながらも、実はテーマは
自閉した自分からの脱却。

 子どものおもちゃ箱をひっくり返したような、楽しい仕掛けに満ちているけれど、結構深い映画なのだ。

 アメリが偶然見つけた40年前の少年の宝箱を、元の持ち主に返すシーン。
 子どもの日々を思い出し、涙を流して喜ぶ元少年のオジサンを、影からひっそりと見つめるアメリ(そうやって他人を幸せにすることが彼女の生きがい)。
 その瞬間、彼女は、自分の人生と世界との調和が取れたように感じ、
「人生はなんとシンプルでやさしいことだろう」と思う。
 そして、盲目の老人の手を取り、街の風景を語って聞かせる。その瞬間、観ている私も、日々何気なく通り過ぎてゆく、平凡な街の風景がどんなに美しく、かけがえのないものであるかを感じる。大げさに言うと、この世界に「生きている」ということ、何かを観ること、触れていられることの素晴らしさ。
 うまく言えないのだけれど、自分が何かを強引に探すのではなく、世界の方から自分に向かって何かが訪れてしまうような瞬間。そんな瞬間の描き方が素晴らしい。

 また、以前はあまり気にも留めなかったけれど、今回見ておもしろいと思ったのは、排水溝に現れるプロンプター。オペラなんかで、歌手のために歌詞を囁く人のことなんだけど。
 気が弱くて、言い返せない人のために、排水溝にプロンプターがいて、言うべきセリフを囁いてくれたらいいのに、というやつ。
 私も、ひどいことを言われても、まずフリーズしてしまいその場で言い返せず、時間差で怒りが湧いてきて悔しい思いをする方なので、そんなプロンプターがいてくれたらいいなと思った(笑)。

 アメリが自分の気持ちをニノ(失敗して破かれた証明写真を集めている不思議な青年/マチュー・カソヴィッツ)に素直に言えなくて、そんな自分を持て余し傷心のまま、キッチンでケーキを焼こうとするシーンなんかも好き。
 今ちょうど切れているバニラ・ビーンズをニノが買ってきてくれる……という、想像の甘い映像が、粉を手にしながら、アメリの頭のなかに浮かんで……すると、後ろで、ふっと何か気配がして振り返ると、猫。なんだか悲しくなって涙がすーっとこぼれる。
 という、ささやかな乙女な(笑)シーンが秀逸。 
 そして、その後の展開――ニノとの静かで柔らなキスシーン(想像ではなく!)が、ほんとに素敵。

 それから、近所の画家の老人がアメリに言う言葉。

人生は自転車レースのようなものだ。
待ち時間は長く、たちまち終わる。
チャンスが来たら、思い切って飛び込まねば。


 
また、これは映画のなかで流れる古い映画の1シーン中のセリフ。

夢の世界に閉じこもり、
内気なまま暮らすのも彼女の権利だ。
人間には人生に失敗する権利がある。


 ジャン=ピエール・ジュネは、「デリカテッセン」や「ロスト・チルドレン」など、カルト的な映画で人気の監督だったけれど、この「アメリ」では、一気に一般の人々をも引き付けることができたようだ。
 そして、日本ほど可愛いもの(とか人)好きではなさそうなフランスでも、「アメリ」(とオードレィ・トトゥ)は大人気になったらしい。
 アメリの内面を美しいガラスのスプーンでそっと掬い取るような映画だけれど、こんなに人気になったのは、その繊細さや可愛いさの部分だけではないと思う。
 人それぞれにいろんなドラマや人生があること、物語のあちこちに散りばめられたちょっとブラックな笑い、そして俯瞰的な視点などなど、多くの人に訴えかける力を持っている映画だったからだ。

 
 ところで、アメリが好きなのは、クリームブリュレのこげこげをスプーンで壊して掬うこと。
 私が自分の人生のなかで今愛して止まないのは、ジェラートの最初の一口。もちろん、最後までおいしいのだけれど、この最初の一口がたまらない! 
 仕事の帰り、新宿伊勢丹の地下、マリオジェラートに立ち寄っては食べてしまう。
 先週は、2回、いや3回ほど食べてしまった。これを食べると、1日の疲れも暑さも引いていく。やはりこってりしたアイスクリームではなくて、乳脂肪少なめ、フルーツたっぷりのイタリアのジェラートがおいしい。

Img_0350 
←レモンとブルーソルト。
ブルーソルトは、塩とイタリアのリキュール入りジェラート。

 

 


 
 

 

Img_0346_2
←今もっとも気に入っている2つの味。
フランス産の赤桃とピンクソルト。
ピンクソルトとは、アンデス産のピンク色の塩を使ったジェラート。この組み合わせは、見た目の色もきれい!

  このお店で、ちょうど夏休み前にポイント25点貯めた私。
 Lサイズの1カップを無料で貰えました!
 フランス産の赤桃とピンクソルトとピスタチオとチョコレートの4つの味が、冷凍庫で冷えている。
 夏休みのささやかな楽しみ。

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