« スイミング・プール | トップページ | キョンキョンと亀梨クンから、「デブラ・ウィンガーを探して」まで―女性の年齢について »

2006年5月 4日 (木)

ふたりの5つの分かれ路

――以前のブログ(2005年10月14日付)から、再Up――

ふたりの5つの分かれ路

Fo 離婚調停のシーンから始まり、ふたりが分かれる岐路になった5つのシーンを、回想するのではなく、時間を巻き戻すかのように徐々に遡っていく。見ている間は気づかず、今になってハッと思うのは、その別れる5つの理由の最後に来るのが「出会い」であること。出会いも別れる理由の一部になるのだ!ということだった。だって、そもそもまず出会わないと別れようがないものね。と、ワケのわからないことを言っているようだけど......別れは辛いけれど、じゃあ、出会わなければよかったのか、と言ったら、決してそうではない、ということなのだ。
 この映画の「出会い」のシーン――夕陽に輝く海辺――は本当に美しくて、泣きたくなるくらいだった。あんなふうにきらめく時間をともにしても、人は別れる時は別れる。人生は美しくて残酷だ。

すべての関係は、死か別れで終わる。だからこそ、人はその瞬間を楽しむのです。すべてに終わりがあることを知らねばなりません。希望はいつだってある。一つの終わりは、始まりなのですから。ヨーロッパ哲学に快楽主義があるでしょう。明日のことは分からない。だから今を楽しみ、欲望に生きる。時に陽の光に便乗するように仕事を忘れセックスをする。フランス人はエピキュリアンです。
フランソワ・オゾン インタビューから                     
 「AERA Couples――愛・結婚・SEX」アエラ臨時増刊 No.44より

 そして、もうひとつ、見所は、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ。美人というより独特の存在感のある人、個性派女優という印象だったけれど、この映画では本当にきれいだった。遡っていくごとに美しくなっていくのだけれど、それが見事に彼女の内面と呼応していて、素晴らしい。 
 厚着で冴えない感じの離婚調停のシーンから、肩を出した黒いドレス姿への鮮やかな変貌。大きく背中の開いたウェディングドレス。出会いのシーンのみずみずしさ。
 オゾンは、最近あまり作品に恵まれていなかったシャーロット・ランプリング(ヴィスコンティの映画などでインパクトがありすぎて使いこなせる監督がいなかったに違いない)を「まぼろし」「スイミングプール」で見事に復活させたし、女優の使い方がうまい。
 そんな彼は1967年生まれ、まだ30代後半というのだから、驚きだ。虚ろでけだるい若者かヤクザか原作がベストセラーのものか、そんなのばっかり映画にしている日本の映画監督も、ちょっとは見習ってほしい。アエラのインタビューでは、「日常が恋愛の魔法を解くのでは?」ということに対して、オゾンは「日常をマジックに変えるために努力すべき――朝、そこには王子も姫もいない。寝ぼけ顔の恋人を愛し、受け入れなくては(笑)」さらにこんなことも。

日本では仕事の価値が高すぎる。フランスでは、仕事仲間と食事に行ったら、もう仕事の話はしない。恋愛の話をする。セックスを含め、互いの気持ちを表現しあうことはとても重要です。

 と、これは仕事人間が多い日本の男性に聞かせたいものですな!

 ところで、オゾンのインタビュー目当てに買ったこのAERA増刊号、「日仏カップル比較」なんぞも載っていた。
「フランス:137回  日本:46回」
 この回数は何の比較だと思います? 国民1人が1年間にセックスする回数、だそうで。日本人は、フランス人の3分の1しかしてないってことだ。
「フランス:9,2回  日本1,7回」
 これは30代以上のカップルの1カ月のセックス回数。日本人はやはり体力がないのか? いえいえ、きっとそんな問題ではないのでしょう。
 それでいて、離婚率は、日本も高くなってきたとはいえ、フランスの方が高い。つまり、「カップル」でいる間は濃密な関係を築き、それが壊れたらずるずる一緒にいない(故にセックスレスという現象もありえない)ということなのだろう。
「2人の知的成熟度、互いを思いやる心、そしてセックスの相性。この3つが満たされなければ、結婚は成り立たない。だから別れたんです」と、これは、40代で離婚したフランス男性の言葉。お互いに自立していないと、なかなか言えないことだ。そして、こういうカップルのあり方、男と女がきちんと関わるという関係性が背景にあるからこそ、「ふたりの5つの分かれ道」のような映画も生まれるのだろうと思う。
 このAERAにはさらに「妻たちのSEX白書」とかもあって、あらゆるパターンのあらゆるデータが満載なのだけれど(あまりに微細なデータでここには紹介できない!)、そんなにデータばかり見せられてもなあ、という感じがなきにしもあらず。比較検討することによって、何か見えてくるものがあるのかどうか(それにしても、AERAってセックスレス特集ってのが好きですよねえ。電車の中吊り広告でしょっちゅう見る気がするんだけど/笑)。

 とにかく、いつか訪れるかも知れない別れや傷つくことを恐れず、果敢に恋をしようではありませんか!

|
|

« スイミング・プール | トップページ | キョンキョンと亀梨クンから、「デブラ・ウィンガーを探して」まで―女性の年齢について »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/84419/1673825

この記事へのトラックバック一覧です: ふたりの5つの分かれ路:

« スイミング・プール | トップページ | キョンキョンと亀梨クンから、「デブラ・ウィンガーを探して」まで―女性の年齢について »