フルムーンの夜に

 今日は七夕、そして満月。
 明るい星もひとつ、ふたつ見える。
 七夕といっても、毎年、曇り空や雨が多いのに珍しいこと。
 夜の雲が月の光に照らされて虹色に輝き、梅雨時の空とは思えないほど幻想的。
 こんな美しい夜に思い出すのは、やはりPinaのこと……。
 
 ドイツの高名な振付家が亡くなった、という単なるデータ的なニュースしか流れなかった日本――評論家の文章なども出てくると思うのだけれど、しばらく時間がかかりそうだ。
 Pinaの名前で検索をして個人のブログに辿り着いても、ニュースにリンクが貼ってあるだけで、2、3行の文章がちょろっと、というのがほとんど。
  どうやら、喪の仕事を共有できる人は限られているらしい。

 マイケルの追悼式が、もうじき大々的に行われるそうだ……。
 今、この世界では偉大な芸術家をもうひとり失っているのだけれど、それは同じこの地上ではなく、まるで遠い月の世界の出来事のよう。
 彼女を愛していた人は、月の上に立ってひっそりと嘆くばかり。

 フランスでは、ル・モンド紙で号外が出たらしい。
 フランス語かドイツ語ができたら、よかったのにな……。
 そんな中、イギリスのガーディアン紙の記事がちょっとよい感じだった。
 guardian.co.uk      Pina Bausch1940-2009
 英語もそんなに得意ではないので、きちんと読解できたわけではないけれど、単なるお知らせではない、このテキストを書いた人の思いが込められた、ちゃんとした追悼の記事になっている印象を受けた(たぶん)。

 重力から解き放たれたPina、今夜はフルムーンの輝きのなかで自由に飛翔していてほしい。

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カフェ・ミューラー、生の舞台を観ることは叶わなかったけれど

 下記は、2006年の8月の日記より。
 この年の春、来日していて、その時の「カフェ・ミューラー」をNHKで放映したものを観た感想。
 余分な雑記なども入った日の記事だったので、その部分だけ抜き出しました。
 ピナがこんなに早く逝ってしまうとは夢にも思っていなかったので、文章もちょっと軽いし短いし、ただ、今後の期待でいっぱいという感じ……。
 しかし、この時点で、いかに私がピナを愛していたか、わかっていただけると思います。
 出遅れたファン(後悔……)ではありますが。

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 NHKの芸術劇場という番組で、ピナ・バウシュの来日公演を観た。
 「カフェ・ミューラー」――素晴らしい!
 興味はあるのだが、生の舞台はまだ一度も観ていないので、次回、来日する時は、何が何でも観に行かねば!と決意する。

 60代の半ばを過ぎて、今もなお踊り続けているピナの美しさは奇跡的。
 そして、美しさだけでなく、人間の痛みや孤独もダンスであそこまで表現できるとは……もう鳥肌が立ちまくり。
 内面から滲み出る美しさ、という言葉は、まるで彼女のためにあるようだ。 
 彼女を見ていると、年を取ることが怖くなくなる。そんな気持ちにすらなった。
 やはり、真実を追い求めている人間は美しいのだ!と、大真面目に考える。 
 自分も、もっと真剣にいろいろなことに取り組まねば……と。
 しかし、録画したものの、なぜか番組が15分ずれ込んでいて、最後の貴重なインタビューが途中でぷっつり……がっくり。
 ちなみに、映画「トーク・トゥ・ハー」にも、実名のままピナ・バウシュとして登場。
 映画の中で、ピナ・バウシュの舞台を観ながら、あまりの美しさに涙を流す男性が出てくるが、あんなふうに泣ける男性が、私は好きだ。
 また、「トーク・トゥ・ハー」を観たくなった。

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Pina Bausch:A Coffee with Pina

 7月は、ピナの死を悼んで、ピナのことだけを書くことに決めました。
 東京の片隅で生きる一ファンなりの哀悼の意です。喪に服します。
 いろいろなニュースや情報が日々めまぐるしく飛び交い、消費され、忘れられていくなか、せめて個人発信のブログくらい、自分の大切なものに対してこだわりたいと思うのです。

 と言っても、舞台もそれほど観ておらず、あまり偉そうなことも言えず、ついついYouTubeの画像をリンクしてしまうばかりなのですが。
(だって、やはりダンサーは動いていないとね……)

 と、思わずリンクしてしまったのも、ヴェンダースがピナの映画制作に入っていたというのを知って。
ビム・ベンダース×ピナ・バウシュ。夢のコラボで世界初3Dダンス映画製作!
 この記事は5月、つい最近ではありませんか。
 本当に、体調不良を訴えてから、あっという間に風のように去っていってしまったという印象です。
 上記の映像はその関連のものらしいですが、カフェに座っているピナの存在感が素晴らしく、手をちょっと動かしただけで、周りの空気が変わるようです。
 でも制作に時間がかかりすぎ、未完になってしまったそうで、ヴェンダースは自分のサイトのトップページでピナへの追悼文を寄せています。
 そこに掲載されている、煙草を手にしているピナがあまりにも素敵。
 嫌煙が世界的に広がるなかでも、きっとピナは煙草を吸い続けていたんだろうな。
 ピナは途中で逝ってしまったけれど、これはぜひ完成させてほしい。

ヴェンダースのサイト

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Pina Bausch追悼──フルムーンいっぱいの悲しみ

Pinabausch_atsushi_iijima_4  













Foto: Atsushi Iijima

 
 
 
 なぜか相次ぐ著名人の訃報のなか、私にとって最も悲しいニュースが。

 公式HPのニュース
 asahi.comのニュース
 Pina Bausch(ピナ・バウシュ)が6月30日に亡くなりました(写真はブッパダール舞踊団公式HPよりお借りしました)。
 信じられません。呆然としています。
 昨年の春の公演が、私にとっての、ピナ体験の最初で最後になってしまいました。
 次の公演にも絶対行こうと心に誓ったのに。 
 
 ここ数年来、あらゆる表現形態のなかで、最も心揺さぶられたのが、ピナ・バウシュとそのブッパタール舞踊団のダンスでした。
 おこがましくも自分の表現……というものを今一度、根源からの見直しを迫られるくらい、衝撃を受けました。
 何をしていくべきか、それを探っていくためにも、もっともっと見たかったのに、それはもう叶わない夢になってしまいました。

 でも、2008年の春にかけがえのない体験ができて、幸運だったと思います。
 たまたま公演を知って、チケットが取れ、大切な人と見られたことは、何かの「啓示」だったのでは……とすら思えます。

 ピナの冥福をお祈りします。
(でもまだ信じられない……というより、信じたくない)

 先週、フルムーンのサントラ盤が発売されているというので、ふと思い立ってタワーレコードへ探しに行ったのですが、あれは何か虫の知らせだったのでしょうか(あいにく、CDはなかったのですが)。

 7月の初めての日記が、ピナの訃報で始まるなんて、悲しすぎる。
 そう言えば、私が観た「フルムーン」は、舞台中、美しい雨が降り続いていたっけ。
 そして、7月1日深夜の今も、ピナの死を悼むかのように、雨が降りしきっています。
 雨の季節、満月いっぱいの悲しみ。今夜は眠れない……。

「フルムーン」を観た時の感想 です。

フルムーン

カフェ・ミューラー

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1892~1917 6/25 92年前の銀のスプーン

 Calvinaさんのブログ・フェアで朝ごはんのコラムを寄稿したことは前回書きましたが、そのフェアで購入した銀のアンティークのスプーンを紹介します(コラムの記事はこちら )。

 Calvinaさんがヨーロッパ(確かスウェーデン?)で入手されたものを分けてもらいました。

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 持ち手のところの装飾がとても繊細。よく見ると、イニシャルが。

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 そして、裏には……

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 よく見えないかも知れませんが、1892―1917という年号が刻まれています。
 計算すると、ちょうど25年。結婚25周年記念ですね、きっと。
 銀婚式に「25年、いぶし銀のごとく」ということで、記念につくったものなのでしょう。
 さらに、その年号の真ん中に6/25という数字。
 6月25日が結婚記念日なのだと思います。
 1917年から、92年の時を経て、私の手元にやって来たこの不思議さ。
 購入したきっかけはこの年号もあるかも。1910年代~20年代頃のヨーロッパの美術やファッションにとても惹かれるのものがあるのです。
 それに、無事、銀婚式を迎えられた夫婦がつくった銀のスプーンからは、幸せのおすそ分けにあずかれるような気もして。
 それにしても、ふたつの世界大戦をはさんで、残り続けたスプーン。
 スプーンの持ち主だった夫妻は、1917年からどれくらいまで長く添い遂げたのか? 50周年の金婚式はお祝いできたのか?
 そして、このスプーンを注文したのはどんな夫妻だったのか、どんな職人さんがこのスプーンを作り文字と数字を刻んだのか、想像がふくらみます。

 大量生産時代が来る前の、こうしたものと人とのつながりは今よりずっと親密で、豊かだったように思います。

 このスプーンは小ぶりで、やや薄手なので、コーヒースプーン?
 私はコーヒーも紅茶もストレートで飲むので、スプーンはあまり使わないのですが、これは持っているだけで嬉しいスプーン。
 でも、ものは使ってこそ価値があるし、銀はある程度使わないとくすんでしまうので、ポットに煎れた紅茶の茶葉をかき回すときなどに使っています。
 92年の歳月が紅茶の香りとともに私のそばに寄せてくるようで、なんとも不思議な思いにかられます。

 ところで、偶然の出来事もひとつ。
 コラムに書いた、私が行ったグラストンベリーのフェスティバルの開催初日は、まさに6月25日だったのです。その年は6月25日が夏至で、そこ(ミッドサマー)にフェスティバルを合わせているんですね。
 日本では梅雨の鬱陶しい時期ですが、ヨーロッパでは、輝ける季節。正に、ジューン・ブライドの季節でもあるのです。
 夏至の日に、妖精たちが歌い踊るフェアリーテールやそんな様子を描いた絵画なんかもよくあります。グラストンベリーは妖精伝説の残る土地なので、そういう意味合いもあっての日取りなのでしょう(気候もいちばん過ごしやすいし)。

 Calvinaさんに「Kateさんのところへ行くことになっていたスプーンなのでしょう」というお便りをいただきましたが、私も本当にそんな気がしています。
 大事にしたいと思います。

  

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朝ごはんのコラム

 先日のcalvinaさん のブログ・フェアに寄稿した朝ごはんに関するコラムです。
 フェアのテーマは「朝ごはん。心に残るけしき」。

 覗きに行けなかった方、よろしかったらどうぞ。

 テーマが決まっていると悩んでしまうところですが、私は朝ごはんが好きなので、わりとすんなり書けました。
 フレンチトーストの写真は、私の5月のある日曜日の朝ごはん。 

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心に残る朝ごはんのけしきと言えば――
90年代の初め、まだ日本に野外音楽フェスなどなかった頃、
グラストンベリーのフェスティバルへ行ったことがある。
その時に泊まったサマセットにあるThe Bear Hotelの朝食。
ホテルと言っても、小じんまりとした一軒の古い館のような造りで、
ここの朝食が正にこれぞイングリッシュ・ブレックファスト!
というものだった。
杏やプラムなどのフルーツのシロップ漬けやグラノーラは
ワゴンに用意されていて、好きなように取る。
席に着くと、ポットの紅茶、トーストスタンドにきれいに並ぶ
薄くてカリカリのトースト、卵料理、マッシュルームソテー、
ベーコンなどが運ばれてくる。
それは体にも心にも沁み渡るような美味しさだった。
ミッドサマーのイギリスの田舎の、明るく澄んだ陽射しや
爽やかな気候のせいもあったかも知れない。
そして、そのThe Bear Hotel――昔、熊が出没する所
だったのだろうか――の室内の空気。
今思い出しても、何か魔法の粉が飛んでいるような、
不思議な心地よさと静けさに満ちていて、
それらも朝食の味を引き立てていたと思う。

さて、肝心のグラストンベリー・フェスティバルの方は、
あまりの規模の大きさに圧倒されるばかりだった。
とにかく広大な敷地で、会場を移動するだけでも一仕事。
でもイギリスの女の子たちは、男の子たちと同じように
頑丈なワークブーツを履いてガシガシと歩き、
もちろんホテルなんぞには泊まらず、テントで何泊も
しているのだった。自分の軟弱さを知った。
今となっては誰の音楽をどんな風に聞いたのか、
記憶もおぼろげで、でもThe Bear Hotelの朝ごはんのことは
鮮明に覚えている。

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もちろん、イギリスの田舎に旅しなくても、
私は自分の部屋で食べる朝ごはんだって好きだ。
朝ごはんは、決まりきった食材の中から、
たくさんのパターンを展開できるのが嬉しい。
卵とパンがあればシンプルにトーストと目玉焼きでもいいし、
フレンチトーストにしてメイプルシロップをかけて食べるのもいい。
どんな時もポットにたっぷりの紅茶さえあれば――
そして、あのThe Bear Hotelの清々しい空気や気配のようなものを、
自分の部屋の朝ごはんのテーブルでも再現できたらいいなと
密かに思い続けている。

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くちなしの丘――花の向こうに君が見えたら 

 最近、見つけたお気に入り。
 これから雨の季節に合いそうなPV。
 今日は気持ちのよいお天気だったけれど、5回は見たかな。

 それにしても、知世ちゃん、ラブリーすぎる!  
 「時をかける少女」から20余年……今でもこの透明感、少女のよう。
 彼女の声も表情も仕草も着ているものも小道具も、ぜーんぶ好きだ。        

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清澄白河へ――池田亮司展とババグーリ

 先週末は、連れ合いが東京に来て、連れ合いおすすめの東京都現代美術館の池田亮司展 へ行った(5月30日土曜日)。
 「日本の電子音楽分野の第一人者」だそうで、光と音とデータ(数字)のインスタレーション。
 無限大の数字(データ)によって、世界を表現する……とでも言えばいいのか、説明するのが難しい。
 プロジェクターで投影された、真っ黒な背景にまるで川のように流れてゆく白い数字。
 見ていると身体感覚が希薄になり、不思議な浮遊感に包まれる。

 何年か前、派遣の仕事で流体解析や量子力学のソフトウェアを開発するベンチャーの会社に短期間いたことがある。
 その時の、ソフトをつくる技術者のPCの画面がこんな感じだった。
 私には暗号にしか見えない、複雑な物理の数式やら何やら、多量のデータが黒い画面を滑るように流れていたのを思い出したのだ。
 そんなことを連れ合いに言うと、正にそういうところからの着想らしい。
(編集という思い切り文系な世界で生きてきたので、バリバリ理系な人に囲まれて仕事するのは初めての経験だったから、その会社はちょっと新鮮だった)
 
 感情やメッセージといったものを削ぎ落とした池田亮司の世界は清々しく、クールでカッコよかった。
 音とシンクロする数字、真っ白な部屋の黒い音響装置――と、実に男の子っぽい世界。
 今時の男の子とかドイツ人とか(あるいはオランダ人とか)に受けそうだなと思った(ドイツもオランダもテクノ好きな人が多そうだから)。

 会場も空いていて、絵と違って1点1点食い入るように見るわけではないから、疲れなくて、よかった(最近の絵画展は人が凄すぎて、疲れる……)。

 

 さて、これもちょっとしたシンクロで、現代美術館のある清澄白河には、最近気になっているヨーガン レールの本社がある。そこの1階にババグーリ(ヨーガン レールの生活雑貨と服)のショップもあるのだ。
 ちょうどいいタイミングということで、次はヨーガン レールへ向かった。
 途中、商店街で焼き鳥を買い食い。
 ちゃんと縁台がしつらえてあるので、その場で食べた。
 なんか江戸の情緒があっていいなあ。安いし、美味しい。
 現代美術館は何度か訪れているのだが、ひとりだと足早に通りすぎてしまう。
 でも、ふたりでぶらぶら歩いていると、いろんなものを発見できて楽しい。落ち着いたいい街だなあと思う。

 

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 ここがヨーガン レールの本社。
 清澄庭園と図書館の目の前にあり、場所もとてもよく、蔦が絡んだ素敵な佇まい。
 無機的でモノトーンの世界の池田亮司展から一転、オーガニックで女性的な世界。

 中は天井が高く、広々としている。
 前日に予約しておいたマフィンを買う予定。
 それから、新宿伊勢丹の期間限定ショップで買いぞびれた蚊遣りもここにはあるだろうと思ったら……ここにもないのであった。
 お店の人に訊いたら、今日2つほど残っていたのが売れてしまいました、とのこと。
 がっくり。
 なんでそんなに蚊遣りが人気? 皆、ほんとに蚊取り線香を焚くの?と思う。
 私は本当に焚きますよ。
 昔ながらの製法の除虫菊を配合した天然の蚊取り線香。
 昨年までは、縁の欠けたお皿に、付属で付いているペラペラの線香立てをみたいの置いて使っていたのだけれど、線香立てがすぐダメになったりするし、欠けたお皿も引っ越しの時捨ててしまったので、何か探さないといけないなと思っていたのだ。
 ないと言われると、ますますほしくなるもので、とりあえず、週明けに在庫を確認してもらうことにした。

 

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ババグーリのトレードマークになっている葉っぱやおうちが、看板の下に可愛く付いています。
 

 さて、お洋服は相変わらず高かったです(笑)。
 連れ合いも「これいいね」と言いながらジャケットを手にするが、値段を見てびっくり。
 布をくるくる巻いたみたいな不思議なボタンが付いていて凝ったつくりになっている。
 しかし、「はっきり言って、今着ている(無印の)ジャケットとそんなに変わらない気もする」と、つい、お互い本音を小声で囁き合ったりしてしまう。
 ファッションというのも、つまるところ、自己満足とわかる人にはわかる、という世界なのかも。

 と、そんなこんなで、マフィンとクッキーを買って店を出た。
 お菓子しか買えないけれど、お店は一見の価値あり。

 翌朝、マフィンを熱々の紅茶と共に食べた。

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 苺、プレーン(アーモンド入り)、ラムレーズン、抹茶の4種類。
 確か1個300円くらいと思っていたのだが、後でレシートを見たら、300円から400円近くするものもあった。上質な抹茶を使っているのが、一番高かったのか? これはもう、ケーキの値段(値段のことばかり言ってすいません:苦笑)。
 しかし、素材はすべてオーガニックで、バター・卵・砂糖なしで、とっても美味しいので、まあ、許せるかなあ。
 ナチュラルハウスなんかにもそういうヘルシー系のスイーツはあるけれど、ぼそぼそしていて、お味が今ひとつだったりする。でも、ババグーリのは美味しい。しっとりしていて、やさしい味わい。固くて素朴な米粉のクッキーも、なかなか。

 さて、数日後、ババグーリから電話があり、蚊遣り、在庫がありお店に届いていますとのこと。
 なければないで、もういいや、かえってないほうがいいや、くらいに思っていたのだけれど、あると言われちゃねえ……と、幻の石垣島のラー油が入荷する今月の下旬頃に合わせて取りに行くことにした。
 かなり先になるけれど、まだ蚊は出ないし、それまでお取り置きしてもらう。
 ちなみにこの蚊遣り、4,000円近くもすると言ったら、連れ合いは呆れていたっけ。
 私も呆れている。
 結局、自分は服よりも生活雑貨に価値――というと大げさだが、好き、ほしいの重点を置いているかも知れない(まあ、服よりは安いし)。

 それから、最近、ネットでヨーガン レールの服についてこんな意見を読んだ。
 職場の先輩が着ていたけれど、エスニック風なスーツで、はじめ作努衣を着ているのかと思った……とあり、ちょっと笑った。
 素敵だけれど、着こなしが難しいところもあるよね、という意見で。
 確かに、あまりにエスニック風、オーガニックテイスト一本でまとめすぎると、頑なな印象になるかも知れない。
 だから、やはりスパイスを効かせる程度に取り入れるのが吉と見た(価格的にも!)。
 あるいは、もっとうんと年を取ってからのほうが似合うのかも知れない(うんと年を取ってお金があればの話だが!)。
 「高い」ことばかり言ってるようだけれど、作努衣のエピソードを読んで、ほしい、高い、買えない、しょんぼり……のループから抜け出せたような気がする。
 高い洋服やら高級スイーツに、あまり惑わされないほうが心穏やかに暮らせるような気もする(この東京に生きていると、誘惑が多くて大変だが……)。
 蚊遣りを手に入れたら、倹約生活をしようと思う。
 
 そして、私はユニクロのTシャツ着て、できるだけ明るく生きていきますよ――と。
(今年のユニクロのパフスリーブのTシャツは、ちょっとガーリーテイストでよいです。1枚1,000円也)


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Calvinaさんのブログ・フェア

★お知らせ★
 互いのブログがきっかけで仲良くさせていただいているCalvina's Corner のCalvinaさん。
 北欧の素敵なものに詳しい方で、ただ今、ブログ・フェアを開催中。
 ものづくりに携わる、いろいろな人たちの作品がネットで見られるバーチャル・ギャラリーです。
 私はコラムを寄稿させていただきました(写真もあります)。
 フェアのテーマは「朝ごはん。心にのこるけしき」、私もそのテーマで書きました。
 ご覧になりたい方は、Calvinaさんのブログのこの欄→ こちら にアクセスしていただき、コメント欄に入り、フェアを見たい旨のコメントを入れてください。
 そうすると、CalvinaさんからIDとPWの招待状が届きます。

 フェアにはギャラリーのほか、Calvinaさんの「トランクお蔵出し」などの企画もあります。
 北欧の雑貨やアンティークなど、他では手に入らない小さな可愛いものたちが並んでいます。
 私は早速、銀のアンティークのスプーンを予約しちゃいました!

 ブログを書いているといっても、一方通行になりがちなのですが、こんなふうにネット上でやり取りができるのって、素敵だなと思います。

 皆さんもどうぞ楽しんでください。6月7日(日)までです。

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憧れのヨーガン レール

 少し前、 ヨーガン レールの社員食堂 という本を読んだ。
 従業員にこんなヘルシーで美味しいランチを出す会社なんてあり得ない!と、ほとんどファンタジーか何かを読むような気持ちでページをめくった。
 スタイリストの高橋みどりさんが、その「すごくおいしくて、しかも日替わりのベジタリアンメニュー」を、1年分、ひたすら紹介する本。
 例えば、こんなの。

5月13日金曜日
山菜のグラタン、ハーブサラダ、ラディシュの塩もみ、人参の牛乳煮、きんぴらごぼう、ケールの根のコリアンダースープ、ごはん(玄米入り黒米入り)、ぬか漬け、島らっきょうの醤油漬け

 と、ベジタリアンレストランでもここまではお目にかかれないような充実のメニュー。
 本には、それぞれの材料(分量の記載はなし)と作り方が簡単に記されている。料理に慣れている人なら、詳しいレシピはなくても何かしら参考になりそうだ。

 肝心の服は、ちょっと高価で上品なマダム服――ぐらいの印象しかなくて、あまり興味を持たなかったのだが、最近何気なくHPを覗いてみたら……。
 あまりの素晴らしさに眩暈が! 
 HPを覗いてみてください→ ヨーガン レール  
 コレクション(2つあり)のところをクリックすると、絵本のような雰囲気で、今シーズンのコレクションがユニークな音楽と共に絵巻物のように現れる(メンズもあります)。
 Jurgenlehltunic01 可愛いくて楽しくて夢がある。最近は昔みたいに、欲望を掻き立てられる服、というものにめっきり出会わなくなっていて、年を取ったせいかなあ? いやいや、時代と自分の感性が合わなくなってきたのかしら?などどと思っていたのだが……。ヨーガン レールの服には、久々に心動かされた(服そのものもよいけれど、HPが本当にラブリー)。
 マダムっぽいというより、オリーブ少女がオバサンになったら着たい服という感じ(オリーブ少女というのも死語?)。
 私はもともと、アシンメトリーで、不規則に襞が取ってあったり(アイロンがけに苦労するが)、体のラインがバシバシに出ない、風が入るような服が好き――なのだが、正にそんな服が続々と。

 ヨーガン レールのHP/ブログ記事より。2009年春のコート

 さらにブログも読むと、それぞれの服の特徴が書いてある。
 草木染めの生地を使っていたり、シルクや麻、天竺綿など、自然素材のものが多いし、どこか着物を思わせる東洋的なものや、エスニックなデザインも多い。
  染織家・織物作家の志村ふくみさん(人間国宝)が、植物のパワーは凄い、一度天然の染めのものを着てみればわかると、本の中でおっしゃっていたが――昔は 皆、そういうものを着ていて、日本人の色彩感覚は素晴らしいと――草木染めのものって高いし、オーガニックよりだと、途端にデザインがださくなるし、結局、着物しかいいものはないんじゃないの?と思っていたら、ここ(ヨーガン レール)にあったか!と。
 ヨーガン レールという日本在住の外国人デザイナーによるところが、ちょっと皮肉な感じもするが、よいものの価値は外側にいる人の方がよく見えるということだろうか。

 一般の人もモデルになっているんだ、と思ったら、あの美味しすぎる石垣島ラー油で有名なペンギン食堂を経営しているご夫妻だったりする。ヨーガン レールのババグーリのショップでこのラー油を扱っているのだそうだ。Lenten04_2

ヨーガン レールのHP/ブログ記事より。石垣島のペンギン食堂店主ご夫妻→
「ラオスの山岳民族レンテン族は、手紡ぎ手織りの厚地の綿を藍染にした民族衣装を、日常的にまとうことで知られています。
レンテン藍と呼ばれる藍色は一か月もの時間をかけて染められます。
そのレンテン族の手織りによるババグーリオリジナルのジャケットとパンツのスーツが仕上がりました。
メンズ、レディスともワイドパンツを合わせて、ゆったりと着こなせるデザインです。
手仕事による深い藍色の風合いをお楽しみ下さい」(ブログ記事より)

 年を重ねると、安い服が似合わなくなるなあと常々思っていた。
 それは、高いブランドの服を着るべし、というのではない。
 なんというのか、若い頃だと、生地なんかペラペラで、ただ流行だけを追った安い服でも若さの勢いで着こなせてしまうのだけれど、年を取ってそういうことをすると浮いて見えてしまうのだ。
 ある程度、生地や縫製がしっかりした服じゃないと、みっともないというか。
 と言っても、自分自身はユニクロや無印良品を多用しているのだが……。

 ヨーガン レールは夢があり、正に年を重ねた女性にぴったりな、安物ではない服なのだけれど……やはり、お値段を見ると現実に引き戻されてしまいます。
 値段は可愛くないです。まあ、これだけいい素材を使っているから、ある意味適正価格という感じもする。多分、縫製も日本だろうし。
 でもシャネルだの何だのに比べたら(ブランド品は高いことも含めて価値だから)、安いとも言える。
 こういう服が自由に買えるようになるくらいの「経済力」がほしい(!!)ものです。

 セールでお気に入りを一着だけ買って、あとTシャツ類その他は全部ユニクロ、という手もなくはないけれど(さすがにTシャツまでお高いヨーガン レールで揃えるのは不可能)。

 
 そして、連れ合いに薦められていた水村美苗さんの日本語で読むということ を読んでいたら、シンクロニシティ的にこんな文章に出会った。

――(中略)日本人はなぜ着物を捨てたのか。ここで着物というのは、着物の形ではなく、布への芸術的こだわりである。日本で仕事をするヨーガン・レール氏の洋服に出会ったとき、同じ疑問をもつ人間に出会った気がした。洋服が布による人体の祝祭だとしたら、着物は人体による布の祝祭である。――「ヨーガン・レール氏の洋服」より

 日本語の本についての本なのだが、こんな文も出てくる。
 特に最後の一文、素敵なことを言うなあ、水村さん。
 確かに水村美苗さんは、ヨーガン レールのシンプルだけれど、上等な布を使ったシックなロングワンピースなどが似合いそうに思う。

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