少し前、
ヨーガン レールの社員食堂 という本を読んだ。
従業員にこんなヘルシーで美味しいランチを出す会社なんてあり得ない!と、ほとんどファンタジーか何かを読むような気持ちでページをめくった。
スタイリストの高橋みどりさんが、その「すごくおいしくて、しかも日替わりのベジタリアンメニュー」を、1年分、ひたすら紹介する本。
例えば、こんなの。
5月13日金曜日
山菜のグラタン、ハーブサラダ、ラディシュの塩もみ、人参の牛乳煮、きんぴらごぼう、ケールの根のコリアンダースープ、ごはん(玄米入り黒米入り)、ぬか漬け、島らっきょうの醤油漬け
と、ベジタリアンレストランでもここまではお目にかかれないような充実のメニュー。
本には、それぞれの材料(分量の記載はなし)と作り方が簡単に記されている。料理に慣れている人なら、詳しいレシピはなくても何かしら参考になりそうだ。
肝心の服は、ちょっと高価で上品なマダム服――ぐらいの印象しかなくて、あまり興味を持たなかったのだが、最近何気なくHPを覗いてみたら……。
あまりの素晴らしさに眩暈が!
HPを覗いてみてください→ ヨーガン レール
コレクション(2つあり)のところをクリックすると、絵本のような雰囲気で、今シーズンのコレクションがユニークな音楽と共に絵巻物のように現れる(メンズもあります)。
可愛いくて楽しくて夢がある。最近は昔みたいに、欲望を掻き立てられる服、というものにめっきり出会わなくなっていて、年を取ったせいかなあ? いやいや、時代と自分の感性が合わなくなってきたのかしら?などどと思っていたのだが……。ヨーガン レールの服には、久々に心動かされた(服そのものもよいけれど、HPが本当にラブリー)。
マダムっぽいというより、オリーブ少女がオバサンになったら着たい服という感じ(オリーブ少女というのも死語?)。
私はもともと、アシンメトリーで、不規則に襞が取ってあったり(アイロンがけに苦労するが)、体のラインがバシバシに出ない、風が入るような服が好き――なのだが、正にそんな服が続々と。
ヨーガン レールのHP/ブログ記事より。2009年春のコート
さらにブログも読むと、それぞれの服の特徴が書いてある。
草木染めの生地を使っていたり、シルクや麻、天竺綿など、自然素材のものが多いし、どこか着物を思わせる東洋的なものや、エスニックなデザインも多い。
染織家・織物作家の志村ふくみさん(人間国宝)が、植物のパワーは凄い、一度天然の染めのものを着てみればわかると、本の中でおっしゃっていたが――昔は
皆、そういうものを着ていて、日本人の色彩感覚は素晴らしいと――草木染めのものって高いし、オーガニックよりだと、途端にデザインがださくなるし、結局、着物しかいいものはないんじゃないの?と思っていたら、ここ(ヨーガン レール)にあったか!と。
ヨーガン レールという日本在住の外国人デザイナーによるところが、ちょっと皮肉な感じもするが、よいものの価値は外側にいる人の方がよく見えるということだろうか。
一般の人もモデルになっているんだ、と思ったら、あの美味しすぎる石垣島ラー油で有名なペンギン食堂を経営しているご夫妻だったりする。ヨーガン レールのババグーリのショップでこのラー油を扱っているのだそうだ。
ヨーガン レールのHP/ブログ記事より。石垣島のペンギン食堂店主ご夫妻→
「ラオスの山岳民族レンテン族は、手紡ぎ手織りの厚地の綿を藍染にした民族衣装を、日常的にまとうことで知られています。
レンテン藍と呼ばれる藍色は一か月もの時間をかけて染められます。
そのレンテン族の手織りによるババグーリオリジナルのジャケットとパンツのスーツが仕上がりました。
メンズ、レディスともワイドパンツを合わせて、ゆったりと着こなせるデザインです。
手仕事による深い藍色の風合いをお楽しみ下さい」(ブログ記事より)
年を重ねると、安い服が似合わなくなるなあと常々思っていた。
それは、高いブランドの服を着るべし、というのではない。
なんというのか、若い頃だと、生地なんかペラペラで、ただ流行だけを追った安い服でも若さの勢いで着こなせてしまうのだけれど、年を取ってそういうことをすると浮いて見えてしまうのだ。
ある程度、生地や縫製がしっかりした服じゃないと、みっともないというか。
と言っても、自分自身はユニクロや無印良品を多用しているのだが……。
ヨーガン レールは夢があり、正に年を重ねた女性にぴったりな、安物ではない服なのだけれど……やはり、お値段を見ると現実に引き戻されてしまいます。
値段は可愛くないです。まあ、これだけいい素材を使っているから、ある意味適正価格という感じもする。多分、縫製も日本だろうし。
でもシャネルだの何だのに比べたら(ブランド品は高いことも含めて価値だから)、安いとも言える。
こういう服が自由に買えるようになるくらいの「経済力」がほしい(!!)ものです。
セールでお気に入りを一着だけ買って、あとTシャツ類その他は全部ユニクロ、という手もなくはないけれど(さすがにTシャツまでお高いヨーガン レールで揃えるのは不可能)。
そして、連れ合いに薦められていた水村美苗さんの日本語で読むということ を読んでいたら、シンクロニシティ的にこんな文章に出会った。
――(中略)日本人はなぜ着物を捨てたのか。ここで着物というのは、着物の形ではなく、布への芸術的こだわりである。日本で仕事をするヨーガン・レール氏の洋服に出会ったとき、同じ疑問をもつ人間に出会った気がした。洋服が布による人体の祝祭だとしたら、着物は人体による布の祝祭である。――「ヨーガン・レール氏の洋服」より
日本語の本についての本なのだが、こんな文も出てくる。
特に最後の一文、素敵なことを言うなあ、水村さん。
確かに水村美苗さんは、ヨーガン レールのシンプルだけれど、上等な布を使ったシックなロングワンピースなどが似合いそうに思う。
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